約 3,643,408 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1924.html
このSSには以下のものが含まれます ぺにぺに 迂闊で残念なまりさ 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくり?」 「ゆっくり!ゆっくり!」 「ゆ?ゆっくり?」 「ゆゆゆっくり!!!」 「ゆっくりしていってね?」 「ゆー!ゆー!」 「なにいってんだこいつ・・・」 畑に向かって林の近くを歩いていくと一匹のゆっくりが飛び出してきた。 噂には聞いていたがこれがあの饅頭妖怪「ゆっくりしていってね」か・・・。 そんな事を考えてしばらく沈黙が続くとなにやら饅頭がふくれっ面で抗議して来た。 「ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 「はいはい、ゆっくりしていってね」 「ゆ!?ゆっくり♪ゆっくり♪」 「・・・・・・・・・・。」 俺の返事に満足したのかそれ以上は何もいわず、その場でくつろぐはじめた。 一様、人間も通る道のど真ん中なのだが、そんなことはお構いなしのようだ。 饅頭相手にいつまでも時間を無駄にするわけにも行かないので、畑に向けて再び歩き出す。 トツ…トツ…トツ… 「ゆっ!…ゆっ!…ゆっ!…」 すると、こちらの歩く速度にあわせて飛び跳ねながら饅頭が着いて来る。 歩きながら饅頭のほうを振り返ると、「ゆっくり!ゆっくり!」と笑顔を返してくる。 結局畑までついてきてしまったが、とりあえず仕事をすることにする。 ザクザクザク、鍬を使って畑を耕していく。 ついてきてしまった饅頭は畑の横で、こちらの様子を伺っていたり、蝶を追い掛け回したり、居眠りしたり、 こっちが汗水たらして働いているというのにいい気なものだ。まったく。 太陽が頭上に差し掛かり日差しも一層強くなってきた頃、 日陰の岩場に腰掛け昼食をとっている俺の前に饅頭がやってきた。 ゴト… 「ゆっくりしていってね!」 饅頭は口にくわえていたものを地面に置くと、俺に何かを求めるようにそういった。 どこから拾ってきたのかバールのようなものを差し出して一体何を求めているのか…。 不思議に思いながらバールのようなものを手に取ると、ゆっくりが嬉しそうに声を上げる。 「ゆー!ゆー!ゆっくり♪ゆっくり♪」 これで何かをして欲しいのか…とりあえず、バールのようなものを饅頭に向けて振り下ろす。 「ゆ゛ご゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!」 ドゴォという効果音と共に饅頭が凹の字にひしゃげた。 殴られた饅頭は両目に涙を蓄えて嗚咽を漏らしながら、なにかを訴えるようにこちらを見つめていた。 どうやら「殴る」という選択肢は間違いだったようだ。他に選択肢はないか考えていると、 少し距離をとった場所から饅頭が声をはっした。 「ゆっくり!ゆっくり!」 あー、もう訳がわからない、と考えるのをやめた俺は饅頭にバールのようなものを投げ返してやった。 すると饅頭が、そばに落ちたバールのようなものを口にくわえこちらにもって来た。 なるほど、投げた木の棒を拾ってくるという、そういう遊びなのか。 つい最近まで犬を飼っていたこともあり、その時の事を懐かしみながらしばらく饅頭と遊んでやることにする。 午後の仕事を終え家に帰ろうとすると、来たときと同じように饅頭が後ろをついてくる。 この様子だと家までついてくるつもりなのだろうが、どうしようか…、つれて帰るのならばちゃんと飼ってやらないと そんな事を考えながら歩いていると突然、別の妖怪饅頭が藪から飛び出してきた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ、ゆっくりしていってね!」 「まりさ!どこにいってたの!あんまりおそいからむかえにきたよ!!」 「ゆ…ゆっくりしていってね!!」 「ゆ?それよりはやくおうちにかえるよ!とかいはなありすはもうねるじかんなんだからね!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 「なにいっているの?まりさ」 どうやら二匹の饅頭は知り合いのようだが、もう一匹の方は普通にしゃべっている事に驚いた。 てっきり「ゆっくりしていってね!」しか喋れないものだと思っていたが、流暢に会話する事もできそうだ。 「おにいさん!とっととあっちにいってね!!まりさ!きょうはすっきりするひだよ!!はやくしてね!!!」 「ん?ああ、じゃあもういくよ。」 その場を去ろうとする俺を、焦ったようにまりさが止めに入った。 「ゆ!!まってだぜ!!」 「なんだ、お前も普通に話せるのか…」 「ま゛っ゛で゛ー゛!!!!!」 必死に呼び止めようとするまりさの声を無視して俺はその場を後にする。 「まりさ!はやくかえるよ!すっきりするやくそくわすれないでね!!!」 「あ゛り゛す゛の゛せ゛い゛だ゛あ゛!!!」 「ゆ?」 「あ゛と゛ち゛ょ゛っ゛と゛で゛あ゛の゛に゛ん゛げ゛ん゛の゛お゛う゛ち゛が゛て゛に゛は゛い゛っ゛た゛の゛に゛い゛い゛!!!」 「お!おちつてね!ゆっくりせつめいしてね!!」 「ゆっく…ゆっく…ぐす、まりさは…まりさのみりょくであのにんげんをほねぬきにしておうちもらおうとしてたんだよ!」 「どういうことなの?だったらさいしょにいってよね!!じじょうをせつめいしないまりさがわるいよ!」 「それもさくせんのうちだよ!にんげんなんてゆーゆーいってればいちころなんだよ!!!」 「でもまりさはありすといたほうがゆっくりできるよ!にんげんなんかぜんぜんゆっくりできないよ!」 「あのにんげんはゆっくりできるよ!ばかないぬっころにまいにちごはんはこんでたもん!!」 「どうせなまごみかなにかをあげてたんでしょ!あんなのぜんぜんおいしくないよ!!」 「そんなことないよ!とってもおいしいごはんだったよ!!」 「なんでまりさがそんなことしってるの!でたらめいわないでね!!」 「ふん!しってるよ!!あんなよぼよぼのばかいぬにはもったいないからまいにちまりさがたべてあげてたんだよ!! とってもおいしいごはんだったよ!!」 「ゆっ!…ごめんねまりさ、ありすしらなかったから…ごべんねまりさ…。」 「ふん!もういいよ!いなかものはしらなくてもしかたないよ!!!」 「ひ゛ど゛い゛よ゛!!ま゛り゛さ゛の゛ば゛か゛ー!!!!」 なるほど、そういうことだったのか…、帰るふりをして気の影から様子を伺っていたが、 「話はすべて聞かせてもらった!」 「「ゆゆ!ゆっくりしていってね!」」 「まりさ、お前家で買って貰いたいのか?」 「ゆ?ゆっくり!ゆっくり!」 「ああ、もう普通に喋っていいよ」 「まりさをおにいさんのおうちにつれてって!!!」 「そうか、飼ってやらない事もないが、働かざるもの食うべからずといってだな、お前はなにか出来るのか?」 「ゆっくりできるよ!あとすっきりも!!」 「そうだよ!まりさのすっきりはすごいんだよ!!ふとくてかたくてあばれっぱなしなんだよ!!」 「なんだそのすっきりというのは?」 「ゆ!まりさのじまんのぺにぺにをみてね!!」 そういうとまりさはグイっと頬を張ってみせた。 「なんだ?そのぺにぺにとやらはどこにあるんだ?」 「おくちのしたをみてね!!」 どれどれ、よーく見ていると頬を張ったことで顎の部分が割れ尻顎になっている。 その部分をくぱぁと開くと人差し指程度の穴とその上に小さな突起物が見える。 その突起物をつついてみるとまりさの体がブルと震えた。 「ゆっ////!それがまりさのぺにぺにだよ!!」 「ほー、これがそうか、で、これをどうするんだ?」 「これをこすりあわせるとすごくすっきりできるよ!!!」 これは饅頭のツボみたいなものか、ツンツンつつくたびに気持ちの悪い声を漏らす。 特に使い道もなさそうだし、飼うのはやっぱりやめにしよう。 考え事をしながらつついていると段々とその突起物が大きくなっていき、 にきびほどの大きさからマツタケほどの大きさまで膨らんだ。 「もっと!もっと!つよくぺにぺにしてね!!」 大きくなったぺにぺにから汁をたらしながらまりさは快感を貪っている。 いい加減この饅頭に付き合うのも飽きてきたので思い切りしごいてやる。 しこしこしこ… 「ぺーに♪ぺーに♪すっき…ん゛っ゛ご゛お゛お゛」 しまった、あまり力を入れたものだからまりさのぺにぺにが根元から千切れてしまった。 「ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛り゛さ゛の゛ぺにぺにがあ゛あ゛あ゛!!!」 「すまんすまん、ほら返すよ。」 ちぎれたぺにぺにを、その下の穴につっこんでやる。 「ん!んほおおおおおお!!!」 饅頭が満足そうに脱力したところでその場を後にする。 「…にんげんとはゆっくりできないよ、もうおうちにかえるよ…。」 巣に向かって力なく跳ねていくまりさの前に一匹のゆっくりがあらわれる。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね・・・」 「いいにおいがするよ!ちんぽのにおいだね!!」 まりさの前に現れたのはゆっくりゆゆこだ食欲旺盛でなんでもたべてしまう。 「ゆっくりたべられてね!!」 「ちんぽおいしい!いちばんおいしい!!」 あとがき 作中でちょっと説明不足な部分を説明します。 登場するおにいさんは犬を飼っていましたが、つい最近老衰で亡くなりました。 老衰なのでまりさがご飯を盗み食いしていたのはあまり関係ありません。 たべ切れずに残していた分を食べていたのです。 なのでこの犬は苦しむことなく眠るように息を引き取りました。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2065.html
『ゆっくり釣らないでね!!!』 「ゆっくりしていってね!!!」 美しい森の中、ゆっくり達の声が響き渡る。 人里から遠く離れてはいるこの森は外敵が少なくて食料が豊富なゆっくりプレイスだった。 そんな安らげる場所で育ったゆっくり達もまた、非常にゆっくりとしていた。 そんなゆっくりの群れの中にいる子供のれいむもまた日々を平和に過ごしていた。 子れいむの家族はお母さんれいむと姉のまりさとれいむ、後は二匹の妹れいむの六匹家族。 とてもゆっくりしている仲良し家族だ。 「おかーさん! きょうはどこにいくのぉ?」 「ゆゆ、みんなのところにいこうね」 「ゆっっくりいこうね!!」 「みんなとあそびにいこうね!!」 「ゆっくちー!」 子れいむ達はいつも群れの皆が集まる広場へと遊びに向かった。 途中で同じ場所に向かう他の家族と合流しつつ広場に着くとすでにこの群れの大半のゆっくりがそこでゆっくりしていた。 友達とカケッコするもの、草を使って綱引きするもの、身を寄せ合ってうとうとするもの、合唱するもの。 どのゆっくりも自分がしたいように、自由にゆっくりとしていた。 「ゅー! れいみゅこっちであしょぼうよ!!」 「ゅーん! いまいきゅよ!!」 「ゆっくちあしょぼーね!!」 妹れいむ達は他の家族の赤ちゃんに誘われて遊びに行ったようだ。 お母さんれいむもそれに付いていった。 「まりさはあっちにいくね!!」 「れいむはともだちにあってくるね!!」 姉まりさは恋人のれいむに会いに行った。近いうちに一緒に住むらしい。 姉れいむも姉れいむで友達のグループに向かったようだ。 残った子れいむは今日は何してゆっくりしようかな、と考える。 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆゆ? ゆっくりしていってね!!!」 考えてた子れいむに話しかけたのはよく一緒に遊ぶ友達の子ゆっくり達だった。 今日は友達とゆっくり遊ぼうと決めた子れいむは友達の輪に混じり、きゃいきゃいと遊び始めた。 とてもゆっくりとした時間。 どのゆっくりも幸せそうな笑顔を見せている。 子れいむもまた、そんなゆっくり達に囲まれて幸せを感じていた。 そして、世界はゆっくり出来る事で溢れていると信じていた。 そんな時に子れいむは人間と出会った。 「おぉー、結構いますね」 「ああ、こんな奥地まで来た甲斐があるってもんだ」 「どれも元気なゆっくりだな」 「それだけここが平和な場所なんでしょ。ゆっくりにとって」 「………」 みんなの広場に5人の人間が姿を現した。 どの人間も大小の籠をいくつも持っている。 「にんげんさんだー! ゆっくりしていってね!!!」 「ゆゆっ? にんげんさん?」 「ゆーん! はじめてみたよ!! ゆっくりしていってね!!!」 こんな森の奥では人間に会うことなどまず無い。 しかし代々受け継いだ知識ゆえにこの動物が人間だとゆっくり達には理解出来ていた。 それでも初めて見る人間達に興味津々のゆっくり達は人間の周りに集まっていく。 子れいむも同じで人間の足元でピョンピョンと跳ね回る。 「にんげんさん! ゆっくりしていってね!! ゆっくりしていってね!!!」 「ここはゆっくりできるばしょだよ!! いっしょにゆっくりしようね!!」 「おいしいおはなさんもあるよ! いっしょうにたべようよ!!」 「随分と人懐っこいな…」 「しかし里近くのゆっくりとはやっぱ違うねぇ」 そう言って男は近くにいた子れいむの頭を撫でる。 大きくて暖かい手に撫でられるのはとっても気持ちよくて思わず、 「ゆゆーん……!」 なんてちょっと恥ずかしい声を出してしまった。 それを見た他のゆっくり達は羨ましがる。 「れいむいいなぁ…」 「まりさもにんげんさんとゆっくりしたいよー!」 「れいみゅもなでなでされたいよ!」 そんなゆっくり達に人間は優しく話しかける。 「それじゃあこっちにおいで。遊んであげるよ」 その言葉にゆっくり達はパーッと顔を輝かせた。 そして人間さんとゆっくりしようと人間の下に駆け寄る。 「一匹ずつ遊んでやるからな」 「ゆっくりあそんでいってね!!!」 人間たちは一匹ずつゆっくりを掴むと撫でるわけでもなく、籠へと投げ入れていった。 大きい成体ゆっくり、それより少し小さい子供ゆっくり、後は赤ちゃんゆっくりの3つに分けて別の籠に入れていく。 最初は「ゆーっ」などと喜んだゆっくりだったが、次々と仲間が籠に入ってきて窮屈になるとさすがに不満を挙げ始めた。 「にんげんさん、ここじゃゆっくりできないよ!!」 「そとでゆっくりあそびたいよ!!」 子れいむも籠に入れられ、子れいむの下には友達のまりさが苦しそうにしている。 上からは友達のれいむが圧し掛かってきて苦しい。 背中からは友達が押してくるので身動きが取れなかった。 目の前にある籠の僅かな隙間から外の様子を見ることが出来る。 仲間が、友達が、お母さんもみんな捕まっていく。 (にんげんさんはへんなあそびをするんだね。でも…) 「にんげんさん、くるしいよぉ…」 仲間が捕まっていくのは人間のそういう遊びだと思っている子れいむにとっては窮屈で苦しいことだけが問題だった。 しかし顔が籠の内壁に押し付けられてるのでくぐもった声で人間に呼びかけるが人間にその声は届かない。 人間はさっきまでの笑顔はどこへやら、無表情にゆっくりを籠へと放っていた。 でも逃げようとするゆっくりはいない。 なぜならゆっくり達はこれを遊びだと信じ、 さらには籠に入った仲間の苦しそうな声など聞こえていないのだから。 そうしてゆっくりの詰められた籠には蓋代わりに布を被され、紐で縛って固定された。 それからどこかで待機していたまた別の人間が現れて籠を運んでいく。 人間がこの広場に現れてから一時間。 たったそれだけの時間でこのゆっくりプレイスに住むゆっくりの群れはいなくなってしまった。 子れいむの入った籠も運ばれていく。 目の前の僅かな隙間から外の見れるれいむには分かってしまった。 自分達がおうちから、そして生活圏から離れてしまっていることに気が付いたのだ。 「ゅ、にんげんさん どこへいくの?? おうちからはなれてるよ??」 その子れいむの言葉に周りのゆっくり達は驚いた。 外の様子が見れないゆっくりは籠の揺れを「ゆれてるね~」程度にしか考えてなかった。 むしろゆっくり揺られるのが楽しくなってきた者すらいた。 だがおうちから離れていくと知れば楽しんでる場合ではない。 「にんげんさんどこいくの!? ゆっくりおしえてね!」 しかし人間は答えない。 「おねがい、へんじしてよぉ」 「いっしょにゆっくりしたいよ!」 「にんげんさんといっしょにゆっくりさせてよー」 純粋に人間さんとゆっくりしたいだけなのにどうして返事してくれないんだろう。 ゆっくり達は寂しくて、悲しかった。 そして何よりもおうちから離れていくことに不安を感じていた。 しばらくするとゆっくりの入った籠が森の外で待機していた馬車の荷台に積まれた。 籠の中のゆっくり達は人間と遊ぶことは諦め、それよりも窮屈な籠から出ておうちに帰りたがっていた。 「ゆー、にんげんさーん。もうおうちにかえるー」 「このなかはせまくてゆっくりできないよ! おそとにだしてね!!」 「おかーしゃんにあいちゃいよ! ゆっくちしちゃいよー!!」 だがその言葉は聞き届けられることはなく、ゆっくり達の旅は続いた。 草原を越え、 大きな河を越え、 山を越えた。 山を越えたところで日は沈んで辺りは闇に包まれた。 籠の中でのオシクラ饅頭にも慣れ、周りの仲間とボソボソと話していたゆっくりも、 何も見えない夜になると一匹、また一匹と眠りについた。 明日は人間さんにおうちへ帰してもらってゆっくりしよう。 一生あのゆっくりプレイスには戻れないことを知らない子れいむはすやすやと眠りはじめた。 子れいむが目を覚ますとそこは見知らぬ場所で、一見洞窟のようだった。 実際は洞窟ではなく建物の一室なのだが、野生を生きるゆっくりに知る由もなかった。 子れいむが籠の隙間から外を覗くと、他の籠に詰められたゆっくり達が一匹ずつ外に出してもらっていた。 窮屈な籠から解放されたゆっくり達は背伸びしたり跳ね回ったりして開放感を味わっていた。 子れいむも程なくして外に出された。 「だしてくれてありがとう!! ゆっくりしていってね!!!」 もちろん出してくれた人間さんにお礼を言うのを忘れない。 床に降ろされた子れいむはまずお母さんを探す。 少し見回せばすぐにお母さんは見つかり、まだ赤ちゃんの妹たちが甘えてくるのに身を任せていた。 ちなみに姉の二匹はほぼ大人なので恋人や友達と一緒にゆっくりしていた。 「ゆっ、おかーさんゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 たった一晩でもお母さんと離れ離れだったのが寂しかった子れいむはいつもより長めに頬を擦り合わせた。 「ゆーん…おかーさんゆっくりー」 「おもうぞんぶんゆっくりしてね!」 「おねーちゃんれいみゅともゆっくちー!!」 「いっしょにゆっくちしようね!!」 甘えさせてくれるお母さんと甘えてくる妹たちの温かみはとても心地よかった。 ずっとこうしていたいぐらいだった。 しかしそんな安らげる時間も人間の声に妨げられた。 「はーい、ちゅうもーく!!」 パンパンと手を叩きながら現れたその人間に部屋の中のゆっくり達は注目する。 その人間は部屋をぐるりと見回してゆっくり達が話を聞こうとするのを確認すると話し始めた。 「今日からみんなはここで住むことになりまーす」 「ゆ"っ!?」 「ど、どういうことなの!?」 「ゆっくりせつめいしてね!!」 どのゆっくりも驚きを隠せない。 いくら暢気で素直なゆっくりだとしても突然知らない土地に住むように言われて、 「うん、ゆっくりくらすね」だなんて一つ返事で了承するほど馬鹿じゃない。 「どういうことも何も君たちはここで住むのは決定済みなんだよね。 まー、ゆっくりしていきなよ」 全く理解できなかった。 子れいむは人間の言っていることの意味が分からないのでお母さんに聞いたが、お母さんも良く分からなかった。 ざわめくゆっくり達だったが、やがて一匹のまりさが人間に質問する。 「ここはゆっくりできるの??」 本当にここに住むとした時、ゆっくり達にとって最も重要な条件。ゆっくりがその有無を聞くのは当然である。 その質問に人間はにっこりと笑顔を作って答えた。 「ゆっくり出来ないよ」 部屋の中の時間が数秒止まった 「なんでゆっくりできないの!?」 「ゆっくりできないならおうちかえるぅー!!」 「れいむたちはゆっくりしたいよ! にんげんさんゆっくりさせてよぉ!!」 「ゆっくりもとのおうちにかえしてね!!」 ようやく人間の言葉を理解したゆっくり達は一斉に騒ぎ始めた。 しかし人間はそんなゆっくり達を無視して次の言葉をつむぐ。 「まあ待て。 そんな君達にここでもゆっくり出来る方法を教えてあげよう」 「ゆ? ゆっくりできるの!?」 「ゆっくりしたいよ!! にんげんさん、ゆっくりおしえてね!!」 ゆっくり出来る、と聞いた途端にゆっくり達は目の色を変えた。 そして騒ぎ立てずに人間の次の言葉を待つ。 「これを見ろ」 人間は壁に立てかけてあった棒を持ち出した。 その棒には細い糸と、その糸の先に針が付いている。 「これは釣竿といってな。 まあ細かい説明はいいとしてこうやって使うものなんだ。ほれっ」 「ゆっ? ゆぎぃぃぃぃぃっ!??」 人間の持つ棒、釣竿の先から垂れる糸のさらに先にある針が近くに居たまりさの頬に刺さった。 そして人間が棒を持ち上げると、まりさも一緒に上がって宙ぶらりになる。 「いだひ、いだひよぉ!!」 「ゆっくりやめてあげてね! まりさいたがってるよ!!」 「もしかしてゆっくりできないにんげんさんなの!?」 「ゆっくりできないのはやだよ! いっしょにゆっくりしようよー!!」 仲間の痛がる様子を見て人間にやめてあげてと抗議する。 人間は釣り上げたまりさを胸元まで寄せると釣り針を抜き取り、床に戻してやった。 「ゆぇぇぇぇぇ!!!」 「ゆっくりだいじょうぶだった??」 「いたいのゆっくりとんでいってね!!」 床に降ろされたまりさは泣きながら家族のところまで逃げていった。 「なんでこんなことするの!?」 「ゆっくりしようよ!!」 まりさを庇うように人間の前に立ったゆっくりは頬を膨らませて威嚇する。 「見てのとおりこの釣竿、というかこの釣り針に触るとゆっくり出来なくなるんだ。 この先の生活ではこういった釣り針なんかに気をつけなきゃいけない。 それを教えたかっただけだよ。分かったか?」 「ゆ、ゆう…でもまりさはいたがってたよ。ゆっくりあやまってあげてね!」 「ああ、悪かった。 だけど危ないものは覚えないとゆっくり出来なくなるからな?」 「ゆぅ、わかったよ。でもつぎはいたいのやめてね!」 「出来るだけ、な」 それから子れいむ達はゆっくりするために気を付けることをその人間から学んだ。 釣り針は危険ということ。 糸の付いた食べ物や仲間に似せた人形も危ないこと。 そしてそれらは自分達を追ってきて、捕まったらゆっくり出来なくなること。 色んな危ないものを実演込みで一通り教えてもらったところでゆっくり達は場所を移された。 移された場所は高い崖に囲まれたような場所で、崖の上には何人かの人間が釣竿を持って座っていた。 さっきまでアレの危険について教えられた子れいむは思わず身を強張らせた。 「ほら、まだ大丈夫だから入った入った!」 それでも人間が急かすので子れいむはその壁に囲まれた中をお母さんに身を寄せながら進んでいく。 「よし全員入ったな。それじゃあゆっくりしていってね」 人間は唯一の出入り口を閉めた。 この中に残されたのはゆっくり達だけになった。 そして同時にこの釣堀での釣りが解禁された。 四方から飛んでくる釣り針やルアー。 それはどれもゆっくり達を狙って飛んできていた。 「ゆべっ!?」 「い"、い"だぁい"い"ぃ"ぃ"ぃ"!!!」 「いや"あ"あ"あ"あ"!!!」 群れの仲間同士で集まっていたので狙われたゆっくりは動くことも出来ずに釣られてしまった。 そしてその中には子れいむの姉のれいむの姿もあった。 「れいむおねーちゃん!!!」 「ゆっくりのぼっていかないでね! そっちはゆっくりできないよぉぉ!!!」 釣られたらゆっくり出来ないこと、食べられてしまうことは教えられたので知っている。 なので子れいむは泣きながら釣り上げられていく姉れいむを追いかけた。 もちろん追いつけない。 「おかーさん!! まりさぁ!! れいむっ…!! おちびー!!!」 姉れいむは釣り上げられる中、家族のことをただ呼び続けた。 他の言葉なんて出てこなかった。愛する家族と離れたくない一心で家族のことを叫び続けたのだ。 だが… 「おお、天然物はやっぱ美味そうだな」 「おがーざー…っ! あぎゅびぇっ……」 釣り上げられた姉れいむは釣った人間によって釣り針から外され、即座に噛み付かれて顔の右半分を失った。 「ゆびっ、びゅぼっ、ぎょっ」 姉れいむの残った左半身は聞くに堪えない奇声を発するだけ。左目は白目を剥いてしまっている。 「あ"あ"あ"あ"あ"あ"……」 子れいむはそれ以上左だけになった姉を見てられずに目を逸らした。 しかしすぐに姉の残りもその人間に食われて姿を消した。 子れいむは姉れいむの元気だった姿を思い出して泣いていた。 だがそんな泣いてる暇すらこの場所では与えられなかった。 「れいむあぶないよ!! こっちににげようね!!」 「ゆ、ゆゆー…」 お母さんの声に子れいむはついていく。 子れいむが跳ねて移動したと同時にその背中を釣り針が通過した。 動くのが少しでも遅れれば自分も姉と同じ運命を辿ったことだろう。 子れいむは生きた心地がしなかった。 「ゆぇーん! きょわいよぉぉ!!」 「ゆっくちしちゃいよぉぉ!!!」 お母さんの頭に乗った妹れいむ達は泣き喚いていたが、今はあやす暇も気力もなかった。 釣堀の中でゆっくりの群れはバラバラに逃げ回る。 しかしいくつもの釣り針が右へ左へ揺れて次々と仲間を引っかける。 子れいむの友達も、その友達のお母さんもどんどん釣り上げられていく。 辺りは悲鳴で溢れていた。 昨日までのようなゆっくりとした楽しげな声は聞こえない。 自分を庇ったお母さんを目の前で食べられる子ゆっくり。 赤ちゃんの口から上を釣り針に攫われた母ゆっくり。 恋人を釣り上げられ、ゆっくりと食される様を見せ付けられたゆっくり。 そんな絶望と悲愴に満ちた声が子れいむの耳を犯す。 「いやだよやだよやだよやだよおぉぉぉぉ!!!」 子れいむはもう何も見たくないし何も聞きたくなかった。 しかし死にたくないという欲求は強く、子れいむの体を動かし続けた。 泣きながら走る子れいむの前にはまだ頼れるお母さんがいる。 お母さんの大きな背中が子れいむの心の支えになり、子れいむを幾分落ち着かせた。 それに妹だって姉である自分が守らないといけない。 守らないといけなかった。 「お、おかーさん…れいむは? おちびちゃんは…?」 「…ゆ?? あ、あたまのうえにいるでしょ? いるよね??」 妹れいむ達がいた筈のお母さんの頭の上には何もいなかった。 頭の軽さに気付いたお母さんはゆっくりとこちらに振り向いた。 そして何かを見つけたらしいお母さんは体を小刻みに震わせ、歯をガチガチと鳴らし、涙を流した。 子れいむは嫌な予感がしながらも振り向く。 振り向いた先には逃げ惑うゆっくり達。 そして妹のリボンが乗っかった餡子の飛沫が二つあった。 「れいむ! れいむー!!!」 「あ、ああ"、あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」 お母さんは妹達の名を叫んで駆け寄っていく。 子れいむは呆然とするだけだった。 いつの間にお母さんの頭から落ちていたのか。 お母さんの後ろにいた自分がすぐに気づかなきゃいけなかったのに…! それはほんの一分ほど前のことだった。 母れいむの頭の上で髪の毛を咥えていた妹れいむ達は周りの恐ろしい光景に悲鳴をあげ、その拍子に母から転げ落ちた。 その時子れいむは気が動転した状態だったので気付かなかったのだ。 そして転げ落ちた妹れいむ達は母のことを必死に叫んだ。 しかし悲鳴で満たされたこの釣堀の中で赤ちゃんの小さな声は誰にも届かず、間もなくして他のゆっくりによって潰されてしまった。 残されたのは潰れた妹の体とリボン。 もう舌足らずだけど元気な声で話しかけてくることも、甘えてくることもない。 「ごふぇ、ごめんなざいぃ!!」 「ごめんね! ごめんねぇぇぇ!!!」 子れいむもお母さんも妹れいむが死んだのは自分のせいだと思い、妹れいむの死骸に泣きながら謝った。 悠長に謝ってる状況でもないのだが、家族を立て続けに失った悲しみは二匹の正常な判断を失わせていた。 「おかーさん! れいむ! にげないとゆっくりできないよ!!」 そんな二匹を我に返らせたのが子れいむの姉であるまりさだった。 今まで恋人のれいむと共に行動していたまりさだったが、呆然としている二匹を見て近づいて来たのだった。 「ま、まりさ! ぶじだったんだね!!」 「まりさおねーちゃん! ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね!! とまってたらあぶないからにげようね!!」 「ゆっくりわかったよ!!」 まりさの言葉に元気を取り戻した子れいむ達はまりさと一緒に駆けていく。 まりさの恋人れいむもすぐに合流して四匹一緒に逃げ回る。 だが他のゆっくり達がバラバラに逃げ回る中、固まって逃げる子れいむ達はどうしても人間の目を引いてしまう。 「ゆっ? ゆっくりねらわれてるよ!!」 最初に気付いたのは恋人れいむだった。 子れいむ達もそこで飛んでくる釣り針やルアーが増えていることに気が付いた。 普段使わない五感をフルに使って避け続けるゆっくり達。実際はただ走っているだけで人間が勝手に外しているだけだったりする。 しかしそれでもこのままではいずれ誰かが犠牲になるだろう。 それを感じ取ったまりさは恋人のれいむに自然と話しかけていた。 「れ、れいむ…」 「どうしたのまりさ?」 「おうちにかえったら、ゆっくりできるようになったら…いっしょにくらそうね!!」 「ゆ、ゆん! やくそくだよまりさ!!」 危機的状況だからこそ幸せな未来を思い浮かべ、一組のカップルは将来を約束した。 しかし、その約束は一瞬でかき消された。 「ゆ、ゆうううぅぅぅ!!!」 「まり…さ…?」 「おねーちゃん!!」 恋人れいむの返事で気を抜いたまりさの右頬にありす型ルアーの針が容赦なく突き刺さり、まりさを連れ去っていく。 「まりさぁー!!! ゆっくりまってよ! ゆっくりまっていってよー!!」 愛するまりさ、将来を約束したまりさを追いかける恋人れいむ。 「ゆっく"りどまっでね! れいぶぎぢゃだめ"ぇ!!」 「い"、いだいぃぃぃ!?」 恋人れいむはまりさを追うことだけを考え、目の前の釣り針が見えていなかった。 そしてまりさの忠告が届く前に恋人れいむの左目は長く太い針に貫かれていた。 二匹はもう決して言葉を交わすことも体を合わせることもない。 それでも二匹はお互いに離れていく恋人の姿をずっと見つめ合っていた。 それは最後の最後まで。 恋人が食べられて崩れていくのを自分も食べられながら見つめていた。 そして夕方。 ゆっくり達には分からないことだが、閉店時間になったおかげで人間の姿はいなくなっていた。 あれからも逃げ続けた子れいむ達は疲れ果てて床にへたり込んでいた。 「なんでゆっくりできないの…!」 「ゆっくりじだいよ! もうおうぢがえる…!!」 子れいむの家族で生き残ったのはお母さんと子れいむの二匹だけ。 周りのゆっくり達も同じように家族を奪われ、恋人を奪われ、親友を奪われていた。 最初は逃げ回るのには窮屈だったこの釣り堀の中も今は随分と広く感じられた。 「おー、二十匹ってとこか。思ったより残ったな」 人間が食べ物をばら撒くために釣り堀の上に姿を見せた。 その人間に対してゆっくり達は懇願する。 「にんげんさぁん! もうれいむたちをおうちにかえして!!」 「ここじゃゆっくりできないよ!!」 「だしてよー! ここからゆっくりだしてよー!」 「ほぉ。まだ元気に叫ぶ力があるのか。 ま、明日もがんばれよ」 ゆっくり達がどんなにお願いしてもその人間は聞いてくれなかった。 あくまで仕事として食べ物を撒いてくれるだけだった。 「むーしゃ、むーしゃ。ゆっくりおいしいね」 「うん、ゆっくりできるね」 人間のくれた食べ物はとても美味しかった。 でもどんなに美味しい食べ物もゆっくり達の悲しみを癒すことなんて出来ない。 なので「しあわせー!」なんて叫ぶゆっくりはこの中にいなかった。 やがて日が暮れて真っ暗になるとゆっくり達は就寝する。 少なくなった群れの仲間たちは一か所に集まって身を寄せ合うようにして眠りにつく。 寝る前に仲間たちと、 「おきたらおうちにもどってるかな」 「だったらゆっくりできるね!」 「きょうのはぜんぶゆめだったんだよ!!」 「それはゆっくりできるね!!!」 なんてゆっくり出来る妄想を語り合った。 しかしゆっくり達の妄想は妄想でしかなく、 翌日もその次の日も高い壁に囲まれた中で釣り針から逃げ回る日々を過ごすことになった。 日ごとに避ける技術や体力の温存方法を学んだ子れいむ達は五日経ってもまだ釣られずに済んでいた。 「きょうこそゆっくりしようね!!」 「ゆっくりしようね!!」 いつかはゆっくり出来る日が来ると、子れいむ達はまだ希望を捨てずにいた。 最近は壁の上の釣竿を持った人間が少なくなり、最初に比べてかなりゆっくり出来るようになった。 さらに母と並んで壁を背にする陣形。これが子れいむ達を生き長らえさせた。 壁を背にすれば気を付けるのはほとんど見える範囲だけで済む。 それでも足りない部分はお母さんと二匹でカバーしあえば問題は無かった。 子れいむが壁の上の人間達の様子を見ていると、一人の男が現れた。 釣竿の準備を始めたその男が最初に誰を狙うのか注視する。 準備の終わったらしい男はこちらを真っ直ぐに見て釣竿を構えていた。 狙っているのは間違いなく子れいむ、自分自身だ。 子れいむはすぐに動けるよう身構え、男の僅かな動きをも見逃さぬように男を凝視する。 そして男の腕が動く。 「ゆっ!? れいむあぶないよ!!」 「ゆっくりよけるよ!!」 お母さんも自分の娘が狙われていることに気付いていた。 男が釣竿を持つ手を動かすと同時に子れいむに危機を知らせた。 子れいむも警告を聞くまでも無く、すでに動き始めていた。 子れいむは一跳びで回避して振り返ると、赤ちゃんれいむが通り過ぎた。 いや、あれはルアーだ。赤ちゃんれいむに似せた命ない人形。 さすがのゆっくりでも一目で偽者と分かる。 そりゃそうだ。あんな大きな釣り針を二つも付けた赤ちゃんなんているわけが無いのだから。 そんなふざけたルアーだが、地面すれすれを低空飛行して子れいむに向かってきた。 「ゆっくりしてね! おいかけないでね!!」 子れいむは捕まらぬように右、左、右、左とジグザグに跳ねる。 こうすればたいていの人間は諦める。 だがあの男は諦めなかった。 10分経っても、20分経っても子れいむを追い続けた。 30分も追われながら動き続けた子れいむは疲れ、動きが鈍くなっていた。 「ゆ、ゆぅ…っ、ゆぅ…! どうじで、れいむばっかりねらうのぉ!?」 「にんげんさん! れいむをねらうなられいむをねらってね!!」 お母さんは子れいむを狙う人間に自分を狙えと頼むが、それでも子れいむを執拗に追い続ける。 そしてとうとう子れいむは床にへたり込んでしまった。 恐らくあの男は体力が尽きて動けなくなるこの時を待っていたのだろう。 『すりすりちようね!』 偽赤ちゃんれいむの体内からそんな声が聞こえた。 大きな釣り針が子れいむの目の前まで迫る。 子れいむはギュッと瞼を閉じる。 「ゆっくりごめんね!!」 「ゆ"っ!?」 だが、次の瞬間子れいむは吹き飛ばされた。 目を見開くとそこには子れいむを庇い、代わりに釣り上げられるお母さんの姿があった。 「ゆぅ"ぅ"ーん"っ!! おがーざん!!!」 子れいむは連れ去られるお母さんを追いかけたい。 追いかけたいのに疲れ果てた体は動いてくれなかった。 「れいむっ…れいむ…っ!! ゆっくりしてね!! ゆっくりしていってね!!!」 お母さんは釣り上げられながら子れいむのゆっくりを願ってそう叫び続けた。 子れいむは涙を流しながらお母さんの最後になるであろう言葉に耳を傾けていた。 それが動けない子れいむがしてあげられる唯一最後の親孝行だった。 「おがぁざん、ゆっぐい"じでい"っでね"ぇ"…ゆっぐりぃぃ……」 お母さんの姿が見えなくなると子れいむは途端に寂しくなって大泣きし始めた。 もう家族はいない。頼れる存在もいない。 そして群れの仲間たちは逃げるのに必死で、泣き喚く子れいむに構おうとするものはいなかった。 しかしそんな中、子れいむに声をかけるものがいた。 『すりすりちようね!!』 どこかで聞いた声だった。 赤ちゃんのような舌足らずな発音でどこか無機質に感じられる声。 子れいむが振り向いた先には、大きな針をぶら下げた作り物が笑顔を浮かべて甘えてきていた。 「ゆ"う"い"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"っ!?」 頬に大きな針が深く突き刺さる。 赤ちゃんゆっくり型ルアーの言うところのスリスリとはこういうことだ。 かえしの付いた釣り針は一度刺さると中々抜けるものではなく、いくら子れいむが力んでも悲鳴を上げても針は外れない。 どんどんと体は地面から離れ、恐ろしい人間の下へと引っ張られていく。 「やだよ! ゆっぐりでぎないよ"!! ゆっぐりざぜでぇ"っ!!」 子れいむは姉や仲間たちの無惨な死に様を思い出し、必死に人間の手から逃げようともがく。 だが手も足も無い生物がどう足掻いたところで体をくねらす程度にしかならなかった。 大した抵抗も出来ないまま子れいむは大きいバスケットに押し込まれて閉じ込められた。 「ゆぅーん"っ!! だじでー!! ゆっぐりじだいよ"ぉ"!!」 「れ、れいむ…?」 「……ゆ?」 バスケットにはもう一匹ゆっくりがいた。 産まれた時から何度も聞いたその声は間違えるはずも無い。 お母さんだった。 「お"、お"が…おがぁざん………!!」 「れいむ…っ!!」 死んだと思っていたお母さんとの再会に、子れいむは涙をボロボロ流しながら母に体を押し付けた。 二度と感じられないと思っていた母の温もりが子れいむの傷ついた心を癒した。 お母さんも子れいむと同じように泣きじゃくっていた。 「よし、そろそろ行くかぁ」 バスケットの外から人間の声が聞こえる。どこかに行くらしい。 子れいむはまた怖いところに行くのかと不安に思い、母に「どうしよう」と問いかけた。 すると母れいむはゆっくりとした笑顔でこう答えた。 「このにんげんさんはとってもゆっくりできるよ! これからにんげんさんのおうちにしょうたいしてもらえるんだよ!!」 「ゆゅっ! そうなの!?」 「ゆ、そうだよ! これからはゆっくりできるんだよ!!」 「ゆゅーっ!!」 子れいむは素直に喜んだ。 他の家族や群れの仲間をほとんど失ったが、その分もゆっくりしよう。 彼女の頭はゆっくり出来る方向に関しては切替が早かった。 「しんじゃったみんなのぶんもゆっくりしようね!!」 「うん! にんげんさんとさんにんでゆっくりしようね!!」 人間が運ぶバスケットの中、子れいむとその母は釣堀という地獄から開放された幸せに浸っていた。 幸せすぎて何度もヘブン状態と叫んでしまったほどだ。 「着いたぞ。今日からここがお前たちのゆっくりプレイスだ」 バスケットの中で揺られること約一時間。 心地よい揺れにウトウト眠りかけていたところでバスケットから出された。 横には壁、上は天井、下は絨毯。そして子れいむの興味をそそる多くの見たことが無い物が揃っている。 ここは人間のおうちの部屋だった。 そして部屋の中心には初めて見るゆっくりがいた。 水色の髪、淡い桃色の帽子、そして羽を生やしたゆっくりだった。 ニコニコと嬉しそうな笑顔を振りまくそのゆっくりは羽を使って宙を浮いていた。 「うー! うー!」 「ゆっくりしていってね!!!」 「れいむとれいむはおやこだよ! ゆっくりしようね!!」 本当は親愛を示すために頬を擦り合わせたかったが、 そのゆっくりはれいむ達の上を飛んで旋回していたので届かなかった。 「ゆっ! おなまえはなんていうの?」 「ゆっくりおしえてね!!」 「れみりゃ、うー!!」 そのゆっくりはれみりゃと言うらしい。 子れいむはこの空を飛べるれみりゃが羨ましく、同時にお友達になりたいと思った。 お母さんもきっと同じ気持ちだろう。 「それじゃ、れみりゃの遊び相手になってくれ」 「ゆっくりわかったよ!!」 「ゆっ、でもおにーさんはどこにいくの? いっしょにゆっくりしたいよ!!」 「いっしょにゆっくりあそぼうよ!!」 「ま、食事の時にまた来るよ」 そう言うと人間は部屋を出て扉を閉めていった。 部屋に残されたのはれみりゃとれいむ親子の三匹だけになった。 子れいむはれみりゃと遊びたかったのですぐに声をかける。 「れみりゃ! いっしょにゆっくりしようよ!!」 「うー!!」 子れいむの言葉にれみりゃは嬉しそうに近づいてくる。 そんなれみりゃに親愛のスリスリをしようとする子れいむ。 だがスリスリしようとした子れいむの頬。 プニプニした頬にれみりゃの牙が突き立てられた。 「ゆぎぃっ!! い"だっ! い"だい"よ"…!! ゆっくりやめてね!! い"だい"い"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!!!」 「うー! うー!!」 外的の少ないゆっくりプレイスで生まれ育ったれいむ親子はれみりゃを知らなかった。 れみりゃはれいむ種やまりさ種を大好物とする捕食者。 そのれみりゃの中でも最も素早い体無しが目の前にいるのだ。 知識のあるゆっくりであればこの部屋に連れて来られた時点で間違えなく怯えて部屋の隅に逃げる。 れみりゃを知らない子れいむはそんな相手と友達になろうとしたのだ。 そしてその結果が今である。 「ゆ"う"ぅ"ぅ"!! ぐりゅじぃよ"!! がらだがおがじい"よ"……!!」 子れいむはれみりゃによって体の中身を吸い上げられていた。 言わば内蔵と脳の合わさったものを無理矢理引きずり出されるような感覚。 嘔吐しそうな苦しみと全身に響く痛み。 そして圧倒的な喪失感が子れいむを襲う。 お母さんは突然のことにしばらく固まっていた。 無害そうなあのれみりゃが娘を攻撃するだなんて夢にも思ってなかったのだ。 だからこそ目の前の光景が信じられなかった。 しかし娘の悲鳴が目の前の光景が真実だと教えてくれた。 娘がれみりゃに食べられようとしている…! 「やめてね! れいむからはなれてね!!」 お母さんはれみりゃに体当たりしようと身構えた。 が、それより前にれみりゃは子れいむから口を放していた。 「ゆ"、ゆ"、ゆ"ぐ…ゆ"ぐ、り"」 子れいむは死ぬほどではないが餡子を抜き取られた痛みに痙攣していた。 お母さんはすぐに娘の下へ駆け寄ろうとする。 「うー!」 「あ"あ"あ"あ"あ"!! やめでね! ゆっぐりじでね!!」 れみりゃはそんなお母さんれいむに噛み付いた。 そして子れいむと同じように中身を吸い上げていった。 母れいむはその苦しみに娘と同じように悶絶し、悲痛な叫びを上げた。 それからしばらくして、母れいむはれみりゃから解放された。 今は娘と仲良く並んで痙攣していた。 釣り針から逃げる生活から解放されたと思えば、今度は捕食者から逃げる生活だった。 前と違うのは捕まっても死ぬことはない、いや殺されないところだった。 れみりゃはれいむ達をあくまで玩具として扱っていた。 だから死ぬまでは中身を吸わない。 時には噛み付かずにれいむ達を追いかけて、必死に逃げて怯える姿を見て楽しんでいた。 釣り堀から助けてくれた人間はここでは常にれみりゃの味方だった。 れいむ達がれみりゃの玩具だから傷を治してくれるし食べ物もくれる。ただそれだけ。 子れいむは何で自分達がこうなったのか分からなかった。 平和な森の中で家族と、群れの仲間と仲良く暮らしていただけなのに。 あの森は悪意のない世界だった。 世界のすべては善意、つまりゆっくりで出来ているはずだった。 人間がそれを壊し、子れいむ達を悪意の世界へと連れ出した。 釣られた仲間は食べられ、目の前のれみりゃは自分たちを食べる。 子れいむが分かったのは自分たちが食べられる存在であるということだけ。 何故ゆっくり出来ないのか。 誰かのせいにすることなんて思い付かない子れいむのゆっくりした頭ではその理由が思い当たるわけもなかった。 そして今日もれみりゃの遊び相手にされる。 一緒にゆっくりすることはない。一方的に相手が子れいむとお母さんを傷つける。 この部屋でゆっくり出来るのはれみりゃだけ。 「いっじょに、ゆっぐりじようよ"…」 「うー!!」 返事は牙で返された。 子れいむは餡子を吸われながらお母さんを見る。 お母さんはここ数日は子れいむの言葉にもほとんど反応しなくなっていた。 たまに独り言をブツブツ言っている。起きながら夢をみているようでもあった。 もうお母さんは、そして自分も二度とゆっくり出来ないのかも知れない。 子れいむは餡子を吸われ、朦朧とする意識の中で漠然とそう感じ取っていた。 終 by 赤福(ゆっくりしたい人) このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1871.html
男は『休憩室』と書かれた文字が剥げかかったプレートの下がってる部屋に入る そして手近な緩衝材が飛び出しかかっているボロいソファに腰を静めると座煙草に火をともし大きくため息をつく 『久しぶり、どうしたんだ?今日は何時もより疲れた顔をしてるぜ』 声の主を男が振り返ると力のない笑顔を帰した 「やぁ、久しぶりちょっと色々あってね」 大きく息を吐くと煙草の煙が雲のように広がると霞のように消えてゆく しばらくの間男はそれを何度も繰り返す 『自分と会う前は何してんだ?』 男はこの加工場の開業時から勤続している 当初は工員で飼育所からつれて来られたゆっくりから餡子を抜き取る作業を行う工員だった 加工場の規模が拡大するにつれ販路開拓の為の要員が必要となり営業員の募集が告知された 彼は実家が元は小さい呉服屋のだった事もあり親について飛び入りの販売を手伝った事もあるのでそれなりに自信はある 何より機械化が進み製造ラインから他の工員が徐々に減っているのを目の当たりにしている、何時までもここに居られる保証はない 学歴も家柄も大して良くないが商売に関しては経験ならある 男は募集が告知されるや直に志願した.... 「あん頃は生活するのにも必死だった...仕送りなんて期待できやしないし、それ以前に俺は実家をの跡を継ぐのがいやで飛び出してだったけな」 煙草を燻らすと男はかつての思い出に浸る様に目を閉じる 『今やアンタは泣く子も黙る人事課長様だぜ』 「よせや…たいした物じゃねぇ」 軽く咳き込むと大きく溜息をつく 『何か嫌なことあったのか?話してみな、相談にのるぜ』 「…実は今日こんな事があってな…」 時を少しさかのぼる事数時間 空は快晴なれど春には未だ遠く街路の木にも疎らに枯葉が、冷たい風に呷られ舞う 加工場の正門には手書きの大きな字で『ゆっくりカンパニー採用試験会場』と書かれた紙が張られている その横を数十人ほどの真新しいスーツを着た男女が入ってゆく 男は机一つと椅子が2つだけ置かれた殺風景部屋の中からその様子を黙って見ていた コンコンと扉をノックする音がすると男は机が置かれた方の机にそそくさと座ると外の人物に中に入るように促した 「失礼いたします!」 やや緊張気味に紺のスーツを着た若い青年が部屋へ入ってきた 男は青年の方を見ると近くに置いてある書類ケースを探ると一枚の紙を取り出す 「○○君か…掛けてください」 「はいっ!失礼します!」 男は紙に張られている小さな写真と青年の顔を見比べると書類の全体に目を落としてゆく そしてある一点を見ると眉を一瞬わずかにしかめた (…またハズレ臭いな…一応使えるかどうか話だけでも聞くしかない) 「どうして君が我社に入社を希望したか答えてもらえますか?」 「はっ…はい!自分は以前にゆっくりブリーダーとしてゆっくりに関わる仕事をしていました その経験と知識にブリーダーと言う仕事を通して培ったを忍耐力を御社で活かせると思い応募しました」 青年の返事を聞くともう一度男は紙に目を落とす (ゆっくりブリーダー暦2年か……微妙だが、もしかしたら…) 「なるほど…それで君はもし入社できるとしたら先の質問で答えたくれた事から当社でどんな事が実現できるかと思いますか?」 「そ…それはゆっくりに関わる事でじ…自分が、いえ社会に…ぎゃ…こ…貢献できる物と思っています」 「なるほど…」 男は青年の様相を平成を装って見つめるとポケットから何かを取り出して机の上に置いた 「突然ですがこれを使って自己表現してください」 机の上に置かれたもの…それは一匹の赤ゆっくりだった 「ゆ?きょきょはどこ?おにーしゃんだぁれ?ゆっきゅりちていってね!」 青年は机の上に置かれた赤ゆっくりを目を見開いて凝視して固まった 室内は数十秒の間の間まるで無人のごとく静まり返る 「どうされましたか?時間はありませんよ」 「は…はいっ!その…こい…この赤ゆっくりを使うんですよね?」 我に帰った青年は席を立ち赤ゆっくりに近づくと荒い息を吐きながら僅かに痙攣させながら手を伸ばす その妙なオーラを出している青年の様子にに赤ゆっくりは気圧されずるずるとこちらの方へ下がる 「おにーしゃんきょわいよ…こっちこないでね!」 青年は震える手で赤ゆっくりに触れる 「ひゃあっ!たまんねぇ!虐待だあぁッ!!」 しわがれた声で叫ぶなり赤ゆっくりを乱暴に引っつかむと血走った目で口の端を大きく広げて笑いながら奇声を上げた 「いぢゃぁぁぁぁぁぁああああい!」 鷲づかみにされた赤ゆっくりが甲高い声を上げて痛みをうったえる 「おれのやりてぇことはこういうことなんだよぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!」 青年はそう叫ぶと赤ゆっくりを握る手に力を込めるとブチュッ!と言う音と共に赤褐色の物体が飛び散った 男はその狂態に眉一つ動かさず、近くにおいてある白い台座に据え付けられた赤いスイッチを押すと部屋の外から 制服を着た警備員が飛び出して髪を振り乱し、仕立てたばかりのスーツをくしゃくしゃにしながら手の中にある 瀕死の赤ゆっくりを甚振る青年を取り押さえた しばらくのもみ合い末、青年が正気に戻ると数刻前に自分のやった行動を思い返して動揺したのか 警備員に押さえ込まれながら男の方に仕切りに叫んだv 「ち、違うんです!自分は…そのこんな事するつもりではなく!い…今のはパフォーマンスです! これ位の覚悟があるぞという…」 「君ブリーダー暦2年って言ったね?通常は普遍種のゆっくりの育て方をマスターするだけでも4年位かかる ウチには元ゆっくり関係の仕事やってた人間が来る事も多い、だけどそういうのに限って大抵君みたいに途中で挫折した人間が多い訳だ 厳しいこと言うけど君の言う半端な経験や知識や根性が役立つとは思えないんだなぁ」 「お…お願いです、ライン工でもいいです!ここが第一志望なんです!!ここへ入社する以外なんて考えられないんです!!!」 「さて話が変わるがウチは製菓業な訳で…原材料の品質に非常に気を使っている。 以前は人の手を使って製造したわけだが今じゃ機械化が進んでるだ。それにさぁ…商品に手を付けちゃ駄目じゃない」 青年はそこまで聞くとがっくりと肩をうなだれて無言のまま警備員に引きずられて出て行った 男は散らばった書類を拾い集めると溜息を一つつき何もなかったかのように元の椅子に座りなおした 「後から来た奴も酷かったよ……」 先の騒動の後男の元にやってきた就職希望者もキワモノぞろいであった 一見清楚で可愛らしい女性は趣味について聞かれた際ににカバンからゆっくりの死体から剥いだ皮を撮影した物を取り出しそれについて延々と語りだすわ 何をしに着たのか、ゆっくりを加工する事を非人道的行為と言い滔々と会社の批判演説を語りだす者、 仕舞いには、きめぇ丸が受験にやってくると言うと言う有様だった 何でゆっくりがゆっくりを加工する場所を就職希望しに来たのか不明ではあるが、 他の受験者に比べて質問受け答えも完璧で履歴書の書き方も手本になる位であるが流石にゆっくりは雇えない 先の受験者と言い他の人事部員がトチ狂って選んだとしか思えない きめぇ丸を除けば会ってみないと書類選考の段階でハジけないのが居るからその為に男が居るんだろうが… 『ふーん、あんたも大変だねぇ』 「ここはお前らの虐待ルームじゃねぇっつの……」 『でも昔ゆっくりを潰してたんでだろ?』 「人聞きの悪い事聞くな……もうあんな仕事やりたいと思わねぇよ毎日毎日悲鳴と恨みがましい目を向けられるんだ 普通の奴じゃ耐えられねぇよ…昔の同僚何人かは当てられちまって未だ病院に居る奴も居る…だから俺は今の道を選んだんだ」 短くなった煙草を灰皿に押し付けると男は胸ポケットにある煙草のカートンに手を伸ばす 『もうやめろよ、4本目だよそろそろと年だし健康気をつけないと駄目だぜ』 「いっそ肺がんで死んだ方がマシだよ」 『家でもなんかあったの?』 「最近カミさんが冷たいんだよ。まぁそれだけならいいさ、ウチに息子居るの知ってるだろ? 受験失敗した後浪人になってさあいつナイーブだからショックで引きこもりになったんだよ 慰めるつもりでペット用のまりさ飼ったんだが、ある日息子が受験勉強のストレスの余り笑いながらズタズタにしちまった」 『……』 「ああ…すまん、気分悪くさせちまったな」 男の隣でバスケットボールほどの大きさの黒い帽子をかぶった生首のような物体が左右に頭を振るゆっくりまりさである 『ううん気にしてないぜ、もう自分はゆっくりって気もしないから』 「そうか……営業だった頃は楽しかったな」 まりさは営業で働いていた頃以来の仲である営業マンになったばかりの頃 不良品だったのまりさを男にプロモ用と称して押し付けられた物だった 『うん……』 「一緒に街中で一日中ビラ配りやったり、シクッた時に取引先に頭下げて回ったり、その帰りに一杯やったり… んで今じゃお前は一躍人気者の宣伝部長様ってか」 ある時に加工場のCMが作られる事になった際に広告代理店に男と一緒に来ていたまりさが見初められた 目を細めて口の端を吊り上げて半笑いを浮かべたまりさが「おお、こわいこわい」と言う意味不明の内容のTVCMが放映されると大ヒットし 加工場の製品CMにはその映像が必ずといっていいほど出てくるようになった 今現在はその功績により特別宣伝営業部長という名前の肩書きを貰い加工場で飼われている しかし、他の社員は面白くないのかまりさに構おうとはしない…話せる相手は苦楽を共にした男だけである 「偉くなったのに増えるのは溜息だけだな」 『だぜ』 2人は室内をたゆたう煙を眺めながらしばし沈黙する 『ねぇ?』 「ん?」 『ひさしぶりに一杯やらないか?』 「いいね…じゃあゆ民で」 『意地悪、それに甘党じゃないくせに』 「はは…じゃ久しぶりにあの店で行くか」 男は小脇にまりさを抱えると部屋の外に出ていった なにをかきたかったのやら このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/322.html
小倉トースト食いたい。トーストした食パンにバターぬって餡子乗せる奴。 まぁ食パンとバターは買うとして、餡子・・・餡子・・・んー、まぁ家に帰れば多分あるだろう。 帰宅してみるとまぁ案の定 「ゆ?、おじさんだれ?」 「ここはれいむたちのいえだよ!ゆっくりしていってね!!」 ほら、あった。ゆっくりれいむ一家が堂々と我が家でゆっくりなさっている。 子ゆっくりが1、2、3、4、5・・・んー。十分かな? 「ゆっくりゆっくりアイアイサー、ついでに言うけどここは俺の家なー」 「ゆ?!れいむたちが先に見つけt 「それはさておきお前小倉トースト好き?」 毎度おなじみのシークエンスは無視して、本題を切り出す。 「ゆゆ?」 「おぐらとーすとってなに?それたべもの?」 「ゆっくりできる?」「とくダネ!見ないンスよ・・・」 小倉トースト、というのがそもそも初耳らしい。何か別のものを想起している奴もいるが・・・。 「んーまぁおやつみたいなもんだな。特に甘いもの好きな奴にはいいんじゃないか」 「ゆ!れいむはあまいものすきだよ!」 「れいむも!」「れいむもたべたい!」「名古屋めしならひつまぶしを・・・」 「「「ゆっくりたべたいよ!」」」 甘いもの好きなんだねー。俺と好み合うじゃん。 「そうかそうか、じゃあゆっくり作るから楽しみにしてなー」 「「「「ゆっくりまってるね!」」」」 食べ物のことになると素直だなぁこいつら。 さて、下ごしらえをしないとな。 「おい子ゆっくり一同、お前らちょっと汚れてんな」 「ゆー?れいむはきれいだよ?」「おじさんとちがってゆっくりはゆっくりしてるからきれいなんだよ!」 「意外と汚れてるもんなの。お前らみたいに外で元気よく遊んでると特になー。洗ってやるからこっち来な」 まぁウソは言ってないよな。親切というよりこっちの腹のためなんだが・・・。 「ゆ!おじさんあらってくれるの!」「おじさんやさしいね!」 「ゆっくりあらってね!」「「「ゆっくりきれいにしてね!!」」」 ついてきた子ゆっくりを水きりボールにいれ、シンクの中でコロコロと転がしながら洗い流す。 「ゆー♪ゆー♪」「ゆっくりすずしいね!」「ゆっゆっゆー!」 暑くなってきているこの季節、冷水が冷たくてゆっくりも気持ちいいらしくゆっくりもご機嫌。 そんな声を台所の下のほうで聞く母ゆっくりも笑顔だ。 んーこれはこれでかわいいんだけど、生憎俺は悪い人間なんだよなー。ごめんなー? 一通りきれいにしてゆっくりの水を切ったところで、さーて本番。 「よーしこっから小倉トーストつくるからなー」 「ゆ!たのしみ!」「ゆっくりまってるね!」 こっちも楽しみ。と、その前にそういえば足元に母ゆっくりがいたっけ。 邪魔になるとなんだから・・・ 「ゆ゛っ?!」 左足でいい感じの圧力で踏んづけて固定。よしやるかー。 「なにするのおじさん!ゆっくりはなしてね!」 「なにするのってまぁ、下ごしらえするから」 「なんでふむの!れいむじゃましないよ!」 それが直に絶対するんだって。 母ゆっくりの声を聞いた子ゆっくりも 「おかあさんになにするの!ゆっくりはなしてね!」 「ゆっくりできないひとはわるいひとだよ!」 と叫んだり跳ねたりしているが、子ゆっくりの跳躍力では せいぜい水切りボールは揺れる程度だなー。念を入れて大き目のにしてよかったよかった。 とりあえず子ゆっくりを一体ひっつかんで、まないたに押さえつける。 「ゆ?!なにするの!ゆっくりはなしてね!」 んで、髪とリボンをちょっととって 「ゆぎぃいいいいっ!?!?いだぁ゛ぁ」 そこから皮を繰りぬいて 「いぎゃあああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ」 スプーンで餡子をほじほじほじっと。お、粒あん。ナイス。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛や゛め゛でぇあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛・・・・」 それを網ごしにみていた子ゆっくりは戦慄し 「ゆっくりたすけてね!!れいむがしんじゃう!!!!」 「ゆっくりできないよ!!おじさんなんで!!!!」 「ゆっくりできないひとはしんでね!!!」 「おいおい、もうちょっとスマートにやってくれよ」 ・・・1体はともかく、他は恐怖と懇願のいりまじった叫びをあげている。 足元の母ゆっくりも何か尋常ならざることが起きていることを察知しているのか 必死に体をぐいぐい動かしているが、口が床にキスしてることもあり何言ってる不明。 そうこうしてるうちに1体目の子ゆっくりがおとなしくなり、あんことり1つ終了。 余った皮とかは三角コーナーにポイ。・・・あれ捨てるなら洗わなくて良かった? 「いやああああああああああああああ」 「やめてええええええええええ」 「ゆっくりさせてあげるから、ゆるしてええええええ」 「旦那ァ、あたしん時はやさしく頼みますよ・・・」 子ゆっくりが自分の運命を悟ったのか悲鳴をあげる(1体除いて)。 母ゆっくりもむごーむごー言って涙を流してるようだけど踏んづけてるのでよくわかんない。 ま、この要領でぽんぽんぽーんと全部あんこくりぬいて、あんこ調達はおしまい。 1体は「真ん中のところがキモって言われるんですが、通は皮に接してる部分を味わうもんですよ」 と自らのあんこについて講義までしてくれる親切ぶりだった。ありがとう変態ゆっくり、あの世で会おうぜ。 足元の母ゆっくりはブルブル震えているが、その震えが足に伝わってなんともいえない気分に。 なんかくすぐったいって言うか気持ちいいっていうかたまんねぇ・・・。 けど、抑えてばっかりじゃ動けないので離す。 するとまぁ当然というか 「ゆ゛っく゛りし゛ね゛!!!!!!!れ゛い゛む゛た゛ち゛に゛な゛に゛じだの!!!」 ゆっくりなりの全力ボディアタックで俺に体当たりをする母ゆっくり。ぽて。ぽて。ぽて。 うわやーらけー。たまんねー。もっとやって・・・・・・そうじゃなくて。 とりあえず母ゆっくりを掴んでみる。 「み゛ん゛な゛どうじだの!!がえじで!がえじでえええ!!!!」 「かえすも何もなー。ホラ見ての通り」 つかんだ母ゆっくりにキッチンシンクを見せると、ボウルにはあんこ。三角コーナーには5匹の子ゆっくりの皮。 ちょっとあんこが残っているのか三角コーナーから 「・・・ゅー」とか「・・・おがあさ・・・」とか「美味しく頂いてくださいよ兄貴・・・・」と掠れて聞こえる。 それを見て母ゆっくりは事態を把握したのか 「ぃ゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 一層ぶんぶん体を震わせ、泣き叫び、体当たりしようとする。ほらやっぱ怒るじゃん。 まぁゆっくりの力なんてたかが知れてるから反撃はかなわないんだがなー。 俺の手を支点に振り子みたいにふるふる震える母ゆっくり。おもしれ。 あとは食パン焼いて、バターのせて、あんこ乗せれば小倉トースト完成だ。 パンが焼けるまで少々時間がかかるんだが、その間も母ゆっくりがうるさくてかなわないので、 ガムテで口をふさぎ、漬物石を上に乗せておく。いい感じに横につぶれて耐えているのが面白い。 「んぐーっ!ぐーっ!ぐーっ!!!!」 「ゆっくりー、もうすぐ小倉トーストできるから楽しみにしてろよー」 「んぶーーーーっ!!!」 「そんなに楽しみかー よかったなぁ」 めでたく完成。まぁせっかくご協力いただいたんだから母ゆっくりにプレゼントするか。 ガムテだけ外してやり、舌を伸ばせば届くところに出来立ての小倉トーストをお出しする。 「さ、召し上がれ」 「・・・なに、これ」 「小倉トースト」 「いらないっ!!たべられない!」 へぇ。つぶあんブレインでも自分の子とあんこは関連付け出来るのか。感心感心。 ・・・まぁさっきみたいな変に饒舌な奴もいるし不思議でもないか。 「ふーん、ああそう。じゃぁ食わなくてもいいけど」 そういうと俺は出かける準備をする。 「ゆ゛っ!どこにいくの!!」 「ん?小倉トースト食いに、喫茶店に。」 「ゆッ!?!!」 「いや、さっきのあいつには悪いけど、なんかこう、なぁ。あんこなめて見たけど甘さがイマイチだし。小さいゆっくりじゃだめだなー」 「ひどい!!ばちがあたるよ!!!」 「うーんまぁ、うん。今度から気をつけるよ。それじゃ行ってくるから」 「そのまえにれいむのうえにあるいしをどけてね!さっさとどけてね!!」 「やーだね。お前が食うまでそのまんまだ。それ以外のモノは出さないからな」 「ゆ゛ーーーッ!!ゆっくりしね!しね!しねーーーー!!!」 「あと半世紀ぐらいあとには死ぬ予定だけどなー。ま、潰れるなり飢え死にするなりするのも自由だ、ゆっくりしていってくれよ」 「ゆ゛うううううううううううッ!!」 ゆっくりと散歩した後、近所の喫茶店でプロの小倉トーストをゆっくりと堪能し、 友人と出会ったのでゆっくりと話し込み、ゆっくり遊びにいき、いろいろゆっくりしたあと、 ゆっくりと買い物を終えて、ゆっくりと帰宅。 家では漬物石でかなり面白い形にひしゃげた母ゆっくりが、涙目で冷めた小倉トーストをつまんでいた。 「ようゆっくり。小倉トーストうまかったぜー」 「ゆ゛ッ・・・!」 全然ゆっくりしていない恨みだけは満点の目。おおこわいこわい。 「冷める前に食ったほうがいいねやっぱり。お前も早く食えばよかったのに」 「・・・」 ゆっ・・・ゆっ・・・と呻きながら、小倉トーストをついばむ元・母ゆっくり。誰もが生きるのに必死なのだな。うんうん。 「ところで喫茶店でたべたのもゆっくり小倉トーストなんだけど、 やっぱ若いゆっくりじゃ恐怖で餡が熟してなくてイマイチらしいんだよね。 やっぱりある程度長生きしてるほうが人生経験・・・もとい、ゆっくり経験がある分甘くなるんだとさ」 「・・・すきにすれば」 諦めた口調でゆっくりが聞く。 「案外鋭いな、そのカンがもっと早く発揮されればよかったのにな」 「もうつかれた。ゆっくりしたい」 優しい俺はゆっくりの頭の上の漬物石を一旦持ち上げると、そのまま振り下ろした。 年季と恐怖のたっぷり入ったゆっくりの餡子で作った小倉トーストはなかなかいい感じだったが、 漬物石のせいで小豆が潰れて「小倉」あんとは言いづらいものになっていたのが難点。 小倉トースト道は険しい。 おわり
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/193.html
早苗から相談を持ちかけられた時、魔理沙にはそれがどういう内容か何となく見当がついていた。 早苗がゆっくりを可愛がっているのは魔理沙も耳にしている。大方、今回の相談もゆっくりに関した事だろう。 「それで、相談っていうのはなんなんだ?」 座布団の上に腰を下ろし、話を促す魔理沙。早苗から早々に出された羊羹は、既に食べ終わっている。 「はい……。実は、ゆっくりの事なんですが……」 やっぱりか、と心の中で呟く。 「どうした? 長い間飼ってたら鬱陶しくなってきたか? 鬱陶しいなら食べるに限るぜ!」 「そ、そんな事ないです! あの子達は可愛らしいですよ! それを食べるなんて……」 魔理沙のセリフに早苗の返事は怒りの込められたものだった。 普通ならあり得ない反応に魔理沙は心底驚く。 幻想郷でゆっくりといえばその言葉とは裏腹に、煩い、鬱陶しい、ストレス解消玩具で知られるまんじゅう型のナマモノの筈だ。少なくとも魔理沙の周りにあれを可愛いと思っている奴なんて1人もいない。良い感情を持つとしてもせいぜい美味しいぐらいだ。 てっきり早苗も食用として飼っていると思っていたのだが、まさか愛玩動物として飼っているとは思わなかった。 魔理沙は素直に思った。物好きな奴だ、と。 「それじゃ、何が問題なんだよ?」 「実は……ゆっくりが大きくなってしまって……」 「ああ、あいつらはすぐ大きくなるからな」 魔理沙の脳裏に、紅白色のふてぶてしい顔をしたまんじゅうが何体か浮かぶ。どのまんじゅうも、霊夢に叩きつぶされたものだ。 切り出しづらいのか言い淀むが、たどたどしく早苗は話を続けた。 「はい……すぐ大きくなるんですけど……ちょっと違ってて」 「違うって、大きくなるに違いなんてあったのか? 初めて知ったぜ」 「ええ、その……大きくなりすぎてしまって……」 「なんだ、可愛がりすぎだぜ。どのぐらいになったんだ?」 「えっと……これぐらいです」 早苗は指を一本立てた。 「1メートルか。よくもそんなに育てたな」 呆れた様子の魔理沙に、慌てて早苗が答えた。 「あ、いえ違うんです。これは数字とかじゃなくて……」 早苗は指を立て、そのまま上に動かした。 「この部屋の天井に当たるぐらい……」 「なんだって?」 魔理沙はまず、早苗の正気を疑った。 なんてふてぶてしい姿なんだ……。 部屋に入り、まず魔理沙が思った事はそれだった。 取りあえず現物を見ないと何とも言えない魔理沙は、早苗の案内でそのデカゆっくりれいむのいる部屋へ足を踏み入れる。 部屋は10畳ほどある広々とした和室。壁際に押し入れがあるものの、普通なら静かにお茶を飲みながらのどかに過ごすための部屋なのだろう。 その部屋の半分を今、まんじゅうが征服していた。 「……でかいな」 「やっぱりそうですか……」 せっかく落ち着いて過ごせる筈の場所が、座っていればまんじゅうが気になり、気が散るようになっていた。 デカゆっくりれいむは、あまりにデカすぎてもはやまんじゅうの原型を留めておらず、もうまんじゅうというよりは部屋に出来た小さな山のようだ。現に顔もどこにあるのかよく分からず、その特徴的なリボンとまんじゅうの皮でどうにか判別出来るぐらいだ。 そのデカゆっくり山の側では、デカゆっくりの姉妹なのか、普通のゆっくりれいむ達が飛び跳ねながら「早く動いてね!」「早く遊ぼうね!」としきりに騒いでいた。 「この子達もこんな事は初めてらしく、こうやって心配していて……」 早苗の言葉に、魔理沙はれいむ達が心配して騒いでいるんだと初めて理解した。てっきりいつものように鬱陶しく自己中に動き回っているかと思ったのだ。 れいむ達を見ている内に魔理沙は「サッカーしようぜ!」と1匹ぐらい蹴り飛ばしてレヴァリエで突き刺したい衝動に駆られるが、その瞬間、魔理沙の知らない早苗を知ってしまいそうなので我慢した。怖い巫女は1人だけで充分だ。 「こいつ、喋らないのか? ゆっくりとも言わないぜ?」 デカゆっくりはこれまで一言も喋っていない。ゆっくりが出会って開口一番に言う「ゆっくりしていってね!」もなければ、姉妹達の言葉にも口一つ動かしていない。顔の位置はわからないが、どうも眠っているようにしか見えなかった。 「ちょっと大きくなった頃は普通に喋っていたんですが、大きくなるにつれて喋らなくなって……今だと食事時にご飯を持ってきたら口を開いてくれるぐらいなんです」 「贅沢な身分だぜ。変な物でも食べさせたんじゃないか?」 「普通に私たちと同じものを用意していたんですが……それが原因だったのかな」 魔理沙はだんだん頭が痛くなってきた。 普通ゆっくりに食べさせるのは、良くて残飯、普通で生ゴミ、悪くて食事時だけ外に放り出すという流れだ。普通なら食べられない金属類を無理矢理食べさせたなんて話も聞いたことはあるが、自分と同じご飯を用意した奴は聞いたことがない。 「どうすればこの子を元に戻せるんでしょうか……?」 「ああ……」 深刻そうな早苗の様子に、魔理沙は迷い始めた。 こんなにでかくなったゆっくりは初めてみたが、でっかくなった理由も、そして元に戻す方法には心当たりがある。しかしその方法は……。 「……早苗、このタイミングで相談したのは正解だったぜ」 「ど、どういうことですか……?」 魔理沙はデカゆっくりのまんじゅう肌に触りながら、 「これはな、妊娠しているんだ」 早苗の思考回路は停止した。 「え?」 「ここまで大きい奴は私も初めてみたが、ゆっくりがこんなに大きくなる理由なんてそれしかないぜ」 真面目な口調の魔理沙に冗談で言っていないと理解した早苗は、なんと返したらいいか悩んだ。ゆっくりが妊娠するなんて考えもしなかった事だ。いやそういえば、以前はずっと仲良くしていた別のゆっくりがいたけど、最近姿を見ないような……。 あれこれ考え、取りあえず浮かんだ事を口に出した。 「……お、おめでたいですね!」 「そうだな、普通ならおめでたいかもしれないが……」 早苗の言葉に笑いもせず、魔理沙は話を続けていく。 「ゆっくりが生む赤ちゃんの数は、そのゆっくりの大きさに比例するんだ。詳しくは私も知らないが、どうも中身のあんこに徐々に皮が付き始めて小さな子ゆっくりになるらしいぜ」 「そ、そうなんですか! 初めて知りましたそんなこと!」 「知ってたらむしろ驚くぜ。これだけ大きかったら、平然とはしてられない筈だからな」 「……え?」 「生む子供の数は大きさに比例するって言っただろ? ゆっくりは体の中で出来た子供を口から吐き出して出産するんだが、それは体の中身を吐き出すようなものだぜ? 激痛だろ。私が見た大きさでも、全部生んだ頃には瀕死になっていたからな」 「それって……それじゃ」 「このまま出産させたら死ぬな、このゆっくり」 自分の聞き間違えかと訪ねるが、魔理沙からは同じ言葉しか返ってこない。 早苗は自分の顔から血の気が引いていくのを感じた。 「たくさんの子供が欲しいなら、このまま放っておけば──」 「い、嫌です!」 魔理沙の言葉を振り払うように早苗は叫んだ。魔理沙に助けを求め、縋りつく。 「あるんですよね魔理沙さん! この子を助ける方法、あるんですよね!」 「……」 「魔理沙さん!」 「……ある」 早苗の顔が一瞬にして豹変した。目が見開き、後光でも差したかのように魔理沙を見つめている。 その表情の変化に魔理沙は焦った。 どれだけゆっくりが大切なんだこいつ……。 「ほ、本当ですか?」 「ああ、本当だぜ。ただこれだけでかいとかなり辛くなるが、それでもやるか?」 「元に戻るなら何でもします」 「それじゃ……まずは家に帰って道具を取ってこないとな」 さっさと行ってしまおうとする魔理沙。しかし早苗に腕を掴まれ、動けない。 「それで、ど、どんな方法なんですか!」 押し迫る早苗。一筋の冷や汗が魔理沙の顔から流れ落ちる。 「……ああ、それはな」 魔理沙はもう隠そうとはせず、はっきりと内容を伝えた。 デカゆっくりはゆっくりしていた。この上なくゆっくりしていた。 今の自分は昔のように飛び跳ねる事は出来ない。喋る事も出来ない。 それは子供が出来たから。 動けない事や喋れない事は苦にならない。今こうして子供が生まれようとしているのは嬉しいし。自分のお母さんもきっと喜んでくれるからだ。 デカゆっくりが思い浮かべているお母さん。それは早苗の事だった。 外敵に襲われ、姉妹そろって瀕死になっているところを助けてくれたお母さん。1匹の時は一緒に遊び、4匹が一緒に楽しそうにしている時は遠くから見守ってくれる。毎日美味しいご飯を用意してくれて、1匹でも居なくなっていたら深夜でも見つかるまで一生懸命探してくれるお母さん。一緒にゆっくりしてくれるお母さん。 そんなお母さん的な存在の早苗に喜んでもらいたい。デカゆっくりはそう思いながらゆっくりしていた。 「大丈夫か? 震えてるぜ?」 「は、はい! 大丈夫です!」 「他のゆっくり達はこの近くにはいないんだよな?」 「はい。魔理沙さんが準備しに帰った後、言われた通り遠ざけておきました……」 「上出来だぜ」 ふと、話し声が聞こえてきた。徐々にはっきりと聞こえてくるので、こっちに向かって来ているんだなとデカゆっくりは思った。 ご飯の時間にはまだ早い。また心配してやってきたんだろうか? ゆっくりしていれば良いのに。自分が大丈夫なのは自分が一番よく知っている。 お母さんを悲しませているのは辛いけど、デカゆっくりは気にしないで、変わらずゆっくりすることにした。 部屋の襖が開かれ、2人が入ってくる。 「あらためて見てもやっぱりでかいぜ。早苗、準備はいいか?」 「は、はい! 頑張ります!」 叫ぶとともに、決死の表情でデカゆっくりに近づいていく早苗。 目の前までいくと、その場で何度か深呼吸をする。決心はした。しかし躊躇せずにはいられない。 臆病になりそうな自分の心を必死に支えながら、早苗は構える。 その手には、光沢の目立つ金属バットが握られていた。 「ええぃ!」 「ぐぼぁっ!」 それまでゆっくりしていたデカれいむの顔が凍り付く。 突然伝わってきた衝撃に、デカゆっくりは大量のあんこを吐き出した。 「ひ、ひぃっ!」 ぼとぼとと口から落ちてくるあんこ。思わず早苗は手を止めてしまう。 「手を止めるなよ、続けないと元に戻らないぞ」 「は、ハイ!」 慌ててバットを握り直し、大きく振りかぶってデカゆっくりの体を殴打す る。 「げぼぇあっ!」 ゆっくりしすぎて喋れなくなっているデカゆっくりは悲鳴が出せない。ただあんこが吐き出される時に、口から音が聞こえるだけだ。 ゆっくりは何をされているのかわからなかった。あれほど優しく自分達とゆっくりしてくれたお母さんが、どうしてこんな苦しいことをするのか。叫んで止めたかった。「ゆっくりさせて!」と叫びたかった。 「まだまだ大量にあるが、あんこは全部吐き出させるなよ。子供用のあんこは全部吐き出してもいいが、生命維持するためのあんこまで出したら死ぬぜ」 「ハイ! えい、えいえいえいえい!」 「ぎゅごげぎゃごごじゅばう゛ぉええぇっ!」 早苗がバットを振るたびに吐き出されていくあんこ。飛び散ったあんこが早苗の顔を、服を汚していく。 このあんこの一つ一つが、ゆっくりの子供みたいなものだ。 気づけば、早苗の顔には涙が浮かんでいた。 「えぃ! うぅ……えぃ! え゛ぃっ!」 「早苗、振りが弱くなってるぞ。助けたくないのか?」 「たずげまず!」 強く振り抜いたバットはゆっくりの体を大きく凹ませ、大きなバットの跡をつけていた。 「頑張らないと、このゆっくり死んでしまうぜ。それともこいつは見捨てて新しく生まれてきた子を育てるか?」 「いや゛です! この子の代わ゛りな゛んでいま゛せん!」 何度も何度も殴打する。「ぐぎょぎゃ!」「ぎょぎゅえっ!」と押し出されていくあんこは、ゆっくりの替わりに畳の上へ山を作ろうとしていた。 「早苗にとって家族のような存在なんだろ?」 「そうでず! 神奈子様や諏訪子様とばまがっう、わたしのかぞぐでず!!」 早苗の顔はあんこと涙でぐしゃぐしゃになっている。それでも早苗は手を休めず、ひたすら目の前のデカゆっくりに金属バットを振り続けた。 「ぐぉげぁ……ゆ゛、ゆ゛ぐ゛り゛っ」 「……えっ?」 思わず、早苗の手が止まった。 「ゆ゛っぐり゛ざぜでよ゛ぉっ!!」 「……ま゛、ま゛りざざん! 喋ってぐれま゛じた!」 「ああ、喋れるぐらいには吐き出したみたいだぜ!」 喜びはしゃいでる早苗がゆっくりはわからない。ゆっくりさせてと言っているのに、どうしてお母さんは邪魔をするの? 「だ、だずげでぇ……っ!」 「ご、ごめ゛んね……っ、でもごれも貴方のだめなのっ!」 また一つ、ゆっくりの体にバットの跡がつけられる。 「いだいよぉおぉっ、くるじいよぉおぉおっ!」 「ごめんゆっくり、がま゛んじてっ! がんばっでずぐすまぜであげるがら……っ!」 「れ゛いぶのあ゛かぢゃんじんじゃう゛よぉっ!」 「えっ!」 早苗はデカゆっくりが、自分が妊娠したことを理解していないと思っていた。あれだけ心配しても何も言わず、焦ることなくゆっくりしていたので、てっきり大きくなった理由なんて気にしないでゆっくりしているのかと思っていた。 でも実際には、赤ちゃんが出来て喜んでいた。産もうと思っていたゆっく りがいた。 その赤ちゃんを、今自分が殺している。 止めどなく涙があふれて来る。罪悪感と後悔が自分を襲う。 「うっ! うぅ……っ」 「だずげでよぉっ! やめ゛でよっ、おがあ゛ざんぅぅぅっ!」 「うっ……!」 「よ゛ろごんでよぉぉお゛ぉっ、おがあ゛じゃんぅぅっっ!!」 「うあ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛ぁあ゛あ゛ぁぁあ゛っ!!」 早苗はデカゆっくりの言葉を振り切るように、必死にバットを振り続けた。 「……うっ……う、うぅっ……!」 「……」 「うあっあああ、ひぃっ!」 「……ほら、泣くなよ早苗」 床に座り込み泣き続ける早苗。その目の前には山となった大量のあんこ、そして吐き出すものを吐き出し、皮が余りまくったデカゆっくりが横たわっている。顔の位置は相変わらずわかりづらいが、どこからか「ゆっ……、ゆっ……」と聞こえてくる。瀕死だが生きてはいるらしい。 魔理沙は泣きやまない早苗の肩に手を置いた。 「赤ちゃんはまた作れるぜ、だけど死んでしまったらそれまでだろ?」 「はい……はいっ……!」 「今は泣くより、このゆっくりをちゃんと治してやる方が先決だぜ?」 「はい……はいっ!」 返事はするものの泣きやまない早苗。しかし泣きながら立ち上がると、目 \の前にあるゆっくりの皮を破れないように畳み始めた。 魔理沙は適当にまとめて持って行くのかと思っていたので、こんな時でも 几帳面な早苗に少し笑ってしまう。 「これだけ大きいといつになるか分からないが、皮は徐々に小さくなっていくからな」 「はいっ、……ぐずっ」 泣きながら、出口の襖へ向かう早苗。 「このあんこはどうするんだ?」 「……こ、この子のこどもだから、あとで埋葬してあげまず……」 「そうか」 その言葉を最後に魔理沙に背を向け、早苗は静かに去っていった。 「……ゆっくりのどこがそんなにいいんだか」 ぽつりと呟くと、魔理沙はあらためて部屋を見渡していく。あんこが一面に広がって甘ったるい空間。早くこんな所からは出て行きたいところだが、魔理沙にはまだ確認しないといけない事があった。 魔理沙はあんこを避けながら、壁際にある押し入れの襖へ手をかける。 そのまま襖を開けると、中には口を塞がれ、身動きがとれないように箱詰めにされたれいむ姉妹の姿があった。 準備があると家へ戻った振りをしていた魔理沙は、姉妹達が早苗から離れた瞬間に全員捕まえ、この押し入れの中へ隠しておいたのだ。 「聞こえたか? さっきの」 魔理沙の言葉に、しかし姉妹達はあまり反応を示さない。全員が全員震えながら涙を流している。 「その様子だと聞いていたみたいだな」 そのまま姉妹達を箱から出し、1匹1匹きちんと口を開けてやる。 「いいか? 子供なんて作ろうと思うなよ。あのでかいのみたいに潰されるぞ」 「やぁだぁ!!」 「れいむたちゆっくりしたいのっ!!」 「たすけてよおねいさんっ!」 「ゆっくりしたいなら子供を作らない事だな。お前達が子供を作ると迷惑な 奴らもいるんだぜ。神様とかな」 「わかった!」 「子供は作らないよおねえちゃん!!」 「ずっとゆっくりしていくね!」 そこまで聞ければ充分だ。どこまで守れるかはわからないが、ゆっくりを教育するにはやはり恐怖心を訴えるのがいい。 魔理沙は姉妹達を押し入れから出してやる。 「ようやくゆっくり出来るよ!」 「ゆっくりしようね!」 その時、魔理沙の頭に妙案が舞い降りてきた。 「……そうだお前達、腹が減ってるだろう」 「お腹空いたよ、でもそろそろお母さんがご飯くれるよ」 ご飯が出来るのが当たり前のようにいうゆっくりに魔理沙は腹が立った。むしろ食用のまんじゅうが、どこまで甘やかされてるんだこいつらは……。 「そのお母さんから言われているんだ。そこにあるあんこ、食っていいぞ」 「ほんとに?」 「ああ、私は嘘なんかつかないぜ」 魔理沙が早苗と仲良く話していたのを覚えているのだろう。対して疑いもせず、ゆっくり達は喜んであんこを食べ始める。もっと知能があれば、早苗が去り際になんと言ったか覚えていただろうが、ゆっくりには無理な相談だ。 「うめぇ」「メチャうめぇ!」と声が響く中、魔理沙はあんこくさい部屋から逃げるように外へ出る。 「やれやれ、神奈子の苦労がよくわかるぜ」 以前、話していた時に、「早苗のゆっくり溺愛はどうにかならないか」と愚痴っていたのを思い出す。もしあのデカゆっくりがそのまま子供を産んでいたら、神奈子はもう我慢出来なかっただろう。 あんこ食ってるゆっくりを見て、早苗もゆっくりがどういう奴らか考え直したらいいが。 魔理沙はそのまま箒に跨ると、自分の家に向かって飛び去っていった。 後日、魔理沙が早苗に会いに行くと、周りにいたゆっくり達が早苗を怖がるように震えている。 早苗とゆっくりの間に何があったのか、魔理沙は触れようとしなかった。 End 最後まで読んでくれてありがとうございます。 何かいい虐待ネタはないかと考えていたら、レスに茎が生えていく以外の繁殖方もそろそろ読みたいとあったので、それじゃお母さんれいむのでかさをシンプルに妊娠として腹バットを書いてみた。 なんだかゆっくり虐待というより早苗いじめに(ry 不満はありますが、腹バットと愛しているから叩くという微妙にアンビバな心理状態が書けたのは個人的に満足しています。 しかしなんで俺は気づいたら姉妹だか家族だかのれいむを虐待してしまうんだろう、わからない。 本当に虐待したいのはれみりゃなんだけどな……。 by 762 選択肢 投票 しあわせー! (13) それなりー (0) つぎにきたいするよ! (1) 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1245.html
ゆっくり加工所では、日夜ゆっくり商品の開発に勤しんでいる。 今日は、加工所で新たに考案された新商品候補を見ていこう。 No,1 インスタントゆっくり汁 最初に紹介するこの商品は、インスタントゆっくり汁です。 素材は厳選されたちびゆっくりで、蓋をした丼の中へ入れてあるんです。 当然鮮度を落とさないように生きたものですよ。 蓋には小さな穴が開いていて、窒息することなく生かしておけるという仕組み。 そしてこの小さな穴はとても重要なものなんです! 食べ方としては、熱く煮えたぎった熱湯を用意し、その穴へと注ぎ込む。 ゆっくりの悲鳴をBGMに優雅に5分ほど待つ。 何も発しなくなったら蓋を外すとあら不思議。 おいしそうなお汁粉の出来上がりというわけである。 「どうでしょう? この商品は」 開発者が、モニターの人々に感想を求めた。 「いちいち丼を買わなきゃダメなのが、ねぇ?」 「融けきらなかったらどうするの?」 「値段設定はどうなってる?」 モニターとして呼ばれた人々は辛口な意見を述べていく。 それを開発者がメモしながらまとめていく。 いくつかの問題はあるが、なかなか良い点をもらえたようだ。 No.2 袋詰めゆっくり 次に紹介する商品は、この袋詰めゆっくりです。 これも厳選されたちびゆっくりを一匹ずつ丁寧に袋詰めし、セットで販売する予定です。 留め金の部分が少々特殊でして、いくつか取り外しが出来るんです。 これによって持ち運びの煩雑さを軽減しようという狙いがあります。 当然生きていますから、店頭やお買い上げ時には煩いかもしれません。 しかし、一匹目を食べたとき、残ったゆっくりの絶望の表情によってそれも気にならなくなるでしょう! そして食べるごとに餡子が甘くなるのです。 勿論、そのままの甘さが良いという場合は一匹ずつ隠しながら食べればOK! 「これはどうでしょう?」 先ほどとは別の開発者が、意見を求める。 「どれくらい持つの?」 「店頭に並ぶ段階で自分の状況を把握したりしないだろうか?」 「店に侵入してきた野生種の対応は?」 疑問に思ったこと、こうすればどうだろうかなどモニターは積極的だ。 これも同じようにメモを取りまとめていく。 No.3 カプセルゆっくり 次に紹介する商品は、このカプセルゆっくりです! これは食用ではなく、玩具用として考案しました。 このカプセルは上下に分けることができ、取出し自由なんです。 生まれたばかりの子ゆっくりをこの中にいれて育てます。 当然気づいたときからカプセルの中ですから、それほど文句を言うこともありません。 食事はカプセルの上の部分に空いた穴からオレンジジュースを適量入れるだけです。 近年の研究で、それだけでも生きることが出来るというのがわかっています。 しかも、ジュースのみで育ったゆっくりは大きくならないことが判明しています。 次に、どのようにして遊ぶかということです。 育てたゆっくりは適度に人に懐き、言うことを聞きます。 それを利用して、ゆっくり同士を戦わせたり、競わせたりすることが出来るんです! 勿論一度カプセルから出してしまうと、文句を言ったりするでしょうがジュースをかけて振ってみると文句も言わなくなります。 「率直な意見をお聞かせください!」 この開発者は若手のようだ。 なんというかエネルギーが伝わってくる。 「販売方法は?」 「遊戯スペース等の考えはあるのだろうか?」 「販売時の店側の負担等は?」 若い開発者はモニターの声を逃すまいと、必死でメモを取る。 時折深くうなずきながら、男の目には火がついていた。 No.4 本当はカキ氷用だった製造機 えー、今回ご紹介します商品は氷ゆっくり製造機です! この箱には四隅にチルノフを固定してあり、さらに熱を伝わりやすくするための特殊素材で囲ってあります。 この中心にゆっくりを入れて、一晩放置するとかちんこちんゆっくりの出来上がりです。 それをヤスリで削り出せば、さまざまなお菓子に使うことが出来るスーパー甘味へと早変わりです。 箱に入れることが出来るものであれば、幾つか一緒に凍らせることも出来ます。 「どうでしょう!」 男はやけに自信満々だ。 「チルノフの交換方法は? どれくらい持つの?」 「もう少し詳細を煮詰めてからのほうがいいのでは?」 「発想が安易すぎではないか?」 「安定した販売が出来るのか?」 モニターからは次々と厳しい意見が出る。 正直私もこれはどうかと思う。 それらを聞いていくうちに、男は泣きながら出て行ってしまった。 No,5 簡単ゆっくりゃ調理セット 本日最後の商品は、この簡単ゆっくりゃ調理セットです! この拘束具をゆっくりゃに取り付けることで、逃げられることなく、簡単に肉まんを取り出すことが出来るのです!! 使い方は簡単、首、胴、腕、足と固定します。 これで準備は完了。あとはお好みの部分を千切って食べるだけ! 再生するので何度でもお楽しみいただけるんですよ! そして泣き叫んで煩い場合は付属のマスクをぴったり装着させるだけ。 このマスクは音を通さない特殊素材で出来ており、静かに食事をしたいときでも安心です! 「どうでしょうか、皆さん」 最後の開発者はどうやら女性のようだ。 「れみりゃ種は別売りなのか?」 「餌の確保などは?」 「逃走する可能性は?」 これで最後だといわんばかりにモニターたちも意見を出す。 女性は落ち着いた表情でメモを取り、案を煮詰めていった。 どうでしたでしょうか? これらゆっくり加工所商品研究課の努力によって、日頃並んでいる商品が完成するのです。 もし興味がありましたら、見学も可能となっております。 アナタもモニターにご応募してみませんか? 後書き スレからいくつかネタを借りました。 どうもせんきゅー!
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1371.html
「ホホホホ....よくぞいらっしゃいました。さて今日はどんなご用件で?ああ?猟ゆっくりをご覧になりたいと承知しました。ではこちらへ」 私はある興味深い話を聞いて里にほど近い廃農場を改築してできたゆっくりの養成所に来ていた。 「ここ最近ゆっくりの駆除数は多くなってますが、ゆっくり全体で見れば統計上減るどころかむしろ増えてるのが現状です なにしろあれはゴキb・・・失礼雑草のようなものですからねホホホホ...それはともかく減らないのは駆除の仕方に問題があるからなのです。 臭いものは元から断つのが一番。巣を見つけてコロニーごと叩きつぶすのが最も効果的と言うわけですなホホホホ.... しかし人間では隠れたゆっくりの巣を見つけるのは難しい。そこでわたくしめはゆっくりにやらせてみればと思いついたのです つまりはコペルニクス的思考転換と・・・オホン、まぁ毒を以て毒を制すと言う訳ですな」 歩きながらの男の説明終わったあたりでガラスの向こうに厩舎らしき場所にいくつもの鉄柵の囲いがいくつもある場所にきた 「ここは未来の生まれたばかりの猟ゆっくりの卵たちを育てる場所でございます。猟ゆっくりというのは若いうちから育てないといけません。 ま、当然ですな…躯が大きくなると態度も大きくなって育てるのも難しいですからなホホホホ....」 一つ囲いの中には大体5~6匹のちびゆっくり達が居る。まだビー玉大から野球ボール程の大きさの様々の子ゆっくりが飼育されている 「ゆっ!」 「ゆ~ゆゆ~♪」 まだまだ子供なのでどれも元気に跳ねまわったり、歌ったり、仲間同士で追いかけっこっしたり藁の上で飛び跳ねたりして遊んでいる。 「猟ゆっくりと言うのは全てのゆっくりがなれるものでは有りません。ここは適性があるかどうかを調べる場でもあるのです。おや… そろそろ時間の様ですな」 案内をしている男がそう言うと厩舎内のベルが鳴り始めた。すると周囲のゆっくり達が急に騒ぎ始めゆっくり達の大合唱が始まった 「ゆ!ゴハン~!」 「おなかしゅいたよ!はやくれいむにごはんをちょうだいね!」 白衣を着た男達がバケツを抱えてやってきた。男たちは囲いの前に立つと餌をエサ入れに流し込む。よく観察してみると小さいゆっくりの 囲いには大量の餌を入れているが、比較的育っている子ゆっくりの方にはその半分かそれ以下しか入れていない。明らかに囲いの中の ゆっくり達の十分の量なエサではない。どういう訳か尋ねてみる 「ホホホ...よくぞお気づきになられました。これも適性を図るプロセスの一つなのです。まぁこちらをご覧ください」 私は案内役に促され今白衣の男が給餌している一つの囲いを覗く。中では3匹の子ゆっくりれいむと2匹のゆっくりまりさ達がエサ台の前に集まっていた。 「ゆ!きょうはきのうよりごはんがすくないよ!おじさんごはんもっとちょうだい!」 一匹の子れいむが声を上げる。しかし白衣の男は次の囲いの給餌に行って既に居ない 5匹はゆーゆーと不満の声を上げていたが 「だいじょうぶだよ。わければみんなたべれるよ」 と5匹の中で2番目に大きいれいむが提案する 「みんなでいっちょでたべればおいちいよ!」 「そうだね!」 と嬉しそうに飛び跳ねながら口々に声を上げる3匹のれいむとまりさ 「そんなのぜったいやだよ!おっきなまりさはわけたらまんぞくできないよ。」 一番大きいまりさが異を唱えた 「ねんちょうしゃのいうことはぜったいだよ!」 それに3番目に大きいれいむが一番大きいまりさの横で援護する。こいつはどうも一番大きい奴の側らしい 「でもみんなでわけないとゆっくりできないよ!」 「そうだよ!」 口ぐちと非難をあげる3匹 「ちっちゃいくせなまいきだよ!まりさをうやまわないれいむはしね!」 そう言うとガキ大将は他の3匹を跳ね飛ばす。 「ゆぎゃっ!」 「い゛た゛い゛よぉぉぉ!!」 「ゆ゛う゛う゛う゛ぅぅぅぅ」 3匹と言えど体格差ではまりさには足元に及ばず成す術もない 「おねえちゃんのいうこときけないけっかがそれだよ!」 と言ってガキ大将の側についてた腰ぎんちゃくのれいむが跳ね飛ばされて動けないゆっくり達の傍で芥悪態を付く 結局餌はガキ大将まりさが総取りし、そのおこぼれを腰ぎんちゃくのれいむが食べていた 「ハフッハフッ!めっちゃうめ!」 「しあわせ~♪」 「おなかすいたよぉ~…」 「ずるいよぉ~…」 「ゅぅ…」 残る3匹はおこぼれすら貰えずその様子を見て愚痴ることしかできなかった。しかし空腹に耐えられず敷いてある稲藁を力なく 食み始めた 「さてお客様ここで一つクイズです。この5匹の中猟ゆっくりの適性があるのはどれだと思いますか?」 私はおそらく一番大きいゆっくりまりさでないかと答えた 「なるほど…ホホホ、それでは選別を行いますのでしばしお待ちください」 案内役はジェスチャーで指示を出すと、一人の白衣の男が今みていたゆっくり達の囲いにやってきた。 「ゆ?おじさんこんどはでざーと?はやくだしてね!」 ガキ大将まりさは開口一番生意気な口を叩く。白衣の男は何かを取り出す 「じらさないでまりさのためにはやくちょうだいね!」 白衣の男は表情一つ変えず何かをまりさの口に素早く突き出す そばで大きな口を開けて餌をねだる口には餌の代わりに尖った鋭い棒が刺さる 「げぶぁッ!」 後頭部に突如風穴を開けられるガキ大将まりさ 「どぉぼでぃでぇぎょんぼどずるのぉ...」 ガキ大将まりさにさした棒を引き抜き何度も突くのが繰り返される 「ゆ゛…ふ゛り…たか…よ」 何かを言い残し息絶えるガキ大将まりさ 「ざまぁだね!」 「いじわるなまりさしんでね!」 それを見たガキ大将に跳ね飛ばされてた3匹のゆっくりは嬉々として飛び跳ねる 「ホホホホ....お客様残念ですが不正解です。あのゆっくりまりさは体格や強さなどは申し分ありませんが、猟ゆっくりに求められるのは、 他の猟ゆっくりとの協調性と主人への忠誠心。 ゆっくり狩りというのはゆっくりの集団を追い込み仕留めるのを目的しております。 単独では難しいので普通はチームを組むのが基本です、お山の大将など必要ありません。強さなどは二の次…そんなものは訓練次第でどうでもなります。無論同族食いする様なのはNGですぞ。例えば10匹の群れを追うのに1匹に食いついて9匹を逃すようなのを猟ゆっくりとは言えませんからねホホホホ....。 それと人を小馬鹿にするようなことを堂々と言うゆっくりが主人の言う事など聞くはずありませんからねぇ。当然ダメ おっと何時までもここで時間を取ってたら昼になってしまいますな。それでは次に参りましょう、ホホホホ....」 案内役は私を次の部屋へ案内する。次は猟ゆっくりに選ばれた奴らが野生のゆっくりの巣の追跡や集団を追い込む 訓練が見れるらしい このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2316.html
「やべでええええええええ!!!!でいぶのあがぢゃんがえじでええええええ!!!!!」 「この赤ちゃんはお兄さんが見つけたからお兄さんの赤ちゃんだよ!独り占めするれいむはゆっくりしないで死ね!」 さてそんなわけで俺は茎についたままの赤ゆっくりを採ってきた。 ぱちゅりー種が二匹、れいむ種が三匹の合計五匹、今はまだ茎についたままだがすぐに生まれてくるだろう。 茎を砂糖水に浸しておけば親の栄養が無くてもある程度何とかなるらしい。 さすがは不思議生物(?)だ。 「ゆ…。」 「ゆっくち…。」 「…ゆゆ…。」 茎から声が聞こえ赤ゆっくりが震え始める。 どうやらそろそろ生まれるらしい。 「ゆっくち!」 プチリ、ビチャ! 「ゆびば!?」 一匹目の赤れいむが地面に落ちたとたんにはじけとんだ。 「なん…だと…?」 やはり茎を刺したコップをテーブルの上においたのがまずかったのか。 一メートルの高さから落ちたら死ぬんだな、学習したぜ。 そんなわけでコップを床へ下ろし落下予測地点にタオルを敷く。 自然に生まれるよりいい環境だ、これで大丈夫だろう。 そうこうしている間に二匹目の赤ゆっくり、ぱちゅりー種の一匹が生まれようとしている。 ぷるぷる、プチン、ポテ。 「むきゅ!ゆっきゅりしっちぇっちぇね!」 どうやら無事生まれたらしい。 元気そうな赤ゆっくりで何よりだ。 「むきゅ~?おきゃーしゃん!ゆっきゅりしっちぇっちぇね!」 「ああ、ゆっくりしてってね。」 俺に向かって元気に挨拶する赤ぱちゅりー。 死んだ奴は置いといてこいつを長女ということにしよう。 と、そうこうしている間に次々と赤ゆっくりが生まれる。 「むきゅ!ぱちゅりーのいもーちょがうまれりゅわ!」 プチプチ、ポテポテ。 「「ゆっきゅりしちぇっちぇね!」」 「ゆゆ~ん♪ぱちゅりーのいもうちょたちゆっきゅりしちぇっちぇね!」 立て続けに二匹が生まれる、どちらもれいむ種だ。 最後の一匹もそろそろ生まれるな、どれ手伝ってやろう。 俺は茎を摘むと振ってやる。 「れいみゅはれいみゅだよ!」 「ぱちゅりーはぱちゅりーよ!」 「れいみゅはれいみゅだよ!」 赤ゆっくり三匹はお互いに挨拶をし合っていて気づいていない。 というかれいむ二匹はまったく同じじゃないか面白れえな。 あれ?それにしてもこいつなかなか生まれねえな、もっと強く振るか。 ぶんぶん、ぶち、べちゃ! 「ゆぎば!!」 …強く振りすぎた、地面にぶつかって潰れちまった。 「ゆ!?れいみゅのいもーちょがいにゃいよ!」 「ゆゆ!ほんちょだ!おきゃーしゃん!まだうまりぇてにゃかっちゃいもーちょはどこ?」 「むきゅー。」 「あっはっは、いやいやお前達は三匹姉妹だろう!妹なんかいなかった!ほら!ごはんだぞ!」 適当にごまかし茎を指ですりつぶしながら与える。 「むーちゃ、むーちゃ!しあわしぇ~。」 「「むーちゃ、むーちゃ!」」 どうやら誤魔化しきれたらしい。 「よーし食べ終えたな!ここが君達のおうちだよ!」 三匹が食事を終えるのを待ち用意してあった箱庭(2メートル四方程度の透明な箱を改造しただけだが)に入れる。 「ゆび!いじゃいいいいいいい!!!!!!」 「むぎゅううううう!!!!」 「おきゃーしゃん!あんよがいじゃいよおおおおおおおおお!!!!!」 その箱には床一面にプラスティック製の芝のマットが敷かれているのだ。 足(?)が発達した大人のゆっくりならば滑り止め程度にしかならないそれも赤ゆっくりにとっては足を切り裂きかねない危険物だ。 「そこが赤ちゃん達のおうちだよ!お母さんはごはんを捕りに行かなきゃならないからもう行くよ!」 「ゆびいいいいいい!!!いじゃぐでありゅけないよおおおおおおおお!!!!」 「むぎゅううう!!!!おきゃーしゃんおいちぇかにゃいでええええええええ!!!!」 「それじゃあお母さんのところまで来てね。そうしたら一緒に連れて行ってあげるよ!」 痛いところから連れ出すために自力で抜け出せというなんとも矛盾した要求だが赤ゆっくり達はきちんと応じる。 「しょろー、いじゃいいいいいいい!!!!!」 先頭の三女れいむが一歩分すら動かず弱音を上げる。 「むきゅ!ぱちゅりーおねーちゃんのうえにのっちぇね!しょうすればれいむはいちゃくにゃいわ!」 「ゆゆ!おねーちゃんありぎゃちょう!しょろーりしょろーり!」 散々わめいて痛がっていた割には長女のぱちゅりーの上に乗るための移動はかなり迅速だ。 まじめにやってなかっただけじゃないのか? そうしてはいずるように頭を低くする長女ぱちゅりーの上に乗る。 「ゆゆ~ん♪」 「むぎゅぎゅ…しょろーり、しょろーり。」 「おねーちゃん!れいみゅものしぇちぇね!」 「むぎゅ、ふちゃりはのしぇられないわ。れいみゅはおねーしゃんだきゃらじぶんでありゅいちぇ…。」 「しょーだよ!わがままいわにゃいでじびゅんでありゅいちぇね!」 「どぼじでじょんなこちょいうのおおおおおおお!!!!!」 早くも姉妹喧嘩が始まる。 というかこの三女、長女が怒って叩き落としても文句言えないようなこと言ってやがる。 「喧嘩しないでね!早く来ないと置いていくよ!」 「ゆ!ぎょめんなしゃいおきゃーしゃん。」 「おねーしゃん!いしょいじぇね!」 「むぎゅーん!しょろーりしょろー…いじゃいいいいいいい!!!!」 見れば長女ぱちゅりーは底部からクリームを流していた。 自分だけならばともかく二匹分の体重を支えて、しかも頭の悪いことにこすり付けるように這いずるのだ。 多少痛くても跳ねたほうが軽症だと思うんだが。 「ぱちゅりー!?大丈夫か!ほら!じゃまなれいむはさっさと降りてね!」 「ゆべ!」 そう言って上に乗っている三女れいむをデコピンで叩き落し長女ぱちゅりーを拾い上げる。 「む…むぎゅ…。」 「二人は遅いからそこに置いて行くよ!それとおねえちゃんに怪我させたれいむは後でお仕置きだよ!」 「「どぼぢでじょんなごじょいうのおおおおおおお!!!!!」」 「うるさいよ!のろまなれいむたちが悪いんだよ!言っておくけどさっきみたいに喧嘩したらもっと酷いお仕置きするよ!」 「「おきゃーしゃあああああああああああん!!!!」」 叫ぶ二匹にそれ以上取り合わず長女ぱちゅりーを連れて隣の部屋へ行く。 「大丈夫かぱちゅりー?ほら今直してやるぞ!」 そう言いながらぱちゅりーの怪我を確認する。 何のことは無い少し切れた程度だ、小麦粉とオレンジジュースをつければすぐにでも直る。 ここにはそのどちらも無いけどね♪ 虐待用にも普通に飼うにしても必須の品だがあえて今回はそれらを使わずにおこうと思う。 さて俺が持ってきたものはガスバーナー。 どうするかはご想像の通り。 「むぎゅうううううううううう!!!!!!あじゅいいいいいいいいいいい!!!!!おきゃーしゃんやめちぇえええええええ!!!!!!」 「我慢してね!こうしないとぱちゅりーの足は治らないんだよ!」 もちろん足焼きである。 怪我はちゃんと治してるよ、ただしその代わり二度と歩けないけどね。 「あら?」 やわらかい底面がカチカチになるまで火であぶると頬の辺りまでこげが広がっていた。 やばいガスバーナーでは赤ゆっくりを焼くには火力が強すぎたらしい。 「む、むぎゅ…。」 すでに息も絶え絶えだが死にはすまい、多分。 「三日もすればまた歩けるようになるよ!ほら妹達のところに行こうね!」 もといた部屋に戻るると長女ぱちゅりーを箱庭に叩き込んだ。 「むぎゅ!?い、いじゃいいいいいい!!!!!!」 頬までカチカチだし多少乱暴に扱ってもビクともすまい。 「さてと、これかられいむへのお仕置きだね。」 「おきゃーしゃん、ごめんなしゃい!れいみゅがわりゅかっちゃよ!だきゃらゆるしちぇね!」 「ダーメ♪」 三女れいむを連れて隣の部屋へ行くと今度は待ち針を取り出す。 「さーてれいむ。これからお仕置きするからね。」 「や、やめちぇね!れいみゅおしおきいやだよ!」 無視して一本目をれいむの目に突き刺す。 「いじゃいいいいいい!!!!!りぇいみゅのおめめぎゃああああああああああ!!!!!」 「うるせえなあ、よっと。」 「ゆぎああああああああああああああああ!!!!!」 二本目を足から喉あたりに貫通させる。 三本目を余っている方の目に。 「いぎいいいい!!!!!ゆーは、ゆーは…。」 四本目は頭から。 「うぎがあああ!!!!!!」 五本目は後ろからなんてどうだろう。 「ぐぎ!!!!?」 六本目は横からかなっと。 「うび!!!…。」 七本目。 「!!…。」 八本目。 「…。」 九本目 「…。」 十本、十一本、…ってあれ? 「あららもう死んじまいやがった。」 三女れいむはすでにハリセンボンのような饅頭になっていた。 まったく根性のねえこった。 さてとこいつはあいつらへの飯にするか。 三女れいむの死骸に刺さった針を抜き髪は適当に剃る。 目と口は塞いで底面になるように変形させる。 さすがに気づくんじゃないか? 「むーちゃ!むーちゃ!ちあわちぇ~!!!あまあまさんすごくゆっきゅりちてりゅよ!!」 「むきゅー!むーちゃ!むーちゃ!ちあわちぇ~!!!!おきゃーしゃんしゅごいわ!」 無駄な懸念だったようだ。 二匹とも気づかずにパクパク食べている。 「おきゃーしゃん、いもうちょのれいみゅはどこにいりゅのかしら?」 「れいむなら隣の部屋でまだお仕置き中だよ!元気にしてるから心配しないでね。」 「ゆみゅ~。れいみゅねむくなっちぇきたよ。」 「むきゅ~。ぱちゅりーもよ。」 食うだけ食ったら眠くなってきたらしい。 まあ赤ゆっくりだし当然だな。 「ほらほられいむ、おねーちゃんは怪我してるんだからこっちでお母さんと一緒に寝ようね。」 「ゆ、わかっちゃよ~。」 眠そうにしながら差し出された俺の手の上に乗る次女れいむ。 再び隣の部屋へ移動する、さて今日はこのくらいにしておくか。 「ゆぴ~、ゆぴ~。おきゃ~しゃ~ん。」 寝息を立て寝言を言いつつ寝る次女れいむ。 俺はその微笑ましい様を見る。 「おらぁ!!!」 ブチャ! 断末魔すら上げず次女れいむは餡子の染みとなった。 「はっ!?しまった!」 あまりにも無防備な次女れいむの姿に反射的に放り投げてしまった。 残るは口が聞けるだけの長女ぱちゅりーのみ、なんてこった一日で五匹がほぼ全滅かよ。 あんなのいじめてもつまんねえな、よし、ここは…。 「ゆうううううううううう!!!!!」 「むきゅ、なきやんでれいむ。またあかちゃんはいつかつくりましょう。」 ぱちゅりーが狩から帰ると番のれいむが口から餡子を吹き出して倒れていた。 おまけに頭にあった子供達は影も形も無かった。 何とか瀕死のれいむを介抱し、事情を聞くと人間に子供を奪われたというのだ。 二人で泣きそして泣きつかれて寝てしまったのだが翌朝になってもれいむはまだ泣いていた。 そこへ何かが転がり込んでくる。 「ゆぴ~。むきゅ~。」 「ゆ!?れいむのあかちゃん!?」 「まちがいないわ!ぱちゅりーたちのあかちゃんよ!」 見間違えようはずも無い、茎についていた頃から何度も見ていた我が子の一匹なのだから。 「かえってきたんだねえええええええええ!!!!!」 「むぎゅううううう!!!!!」 二人して歓喜に泣く。 帰ってくるはずも無いと思っていた自分達の子が戻ってきたのだから。 「むきゅ~、ゆ?きょきょはどきょかしら?」 「おちびちゃん!ここはおかーさんたちのいえだよ!ゆっくりしていってね!」 「むきゅー!ゆっくりしていってね!」 しかしそれを聞いて赤ぱちゅりーは嫌そうな顔をする。 「へんなこちょいわないでにぇ!おばしゃんたちがぱちゅりーをゆーかいしたのね!ぱちゅりーはおきゃーしゃんのときょろにかえるわ!」 「「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおお!!!!!!」」 歓喜の後であるからこそその悲しみは大きい。 二匹の叫びが響き渡った。 「やれやれ、いい事した後は気分がいいねえ。」 よく朝早く俺はあの赤ゆっくり達を採ってきた場所に長女ぱちゅりーを帰した。 さてあの親たちはままならぬ一人娘をどうするのだろうか。 殺すのか?生かすのか? さっきの様子からして殺すって事は無いだろう。 足は黒こげで一生歩けず頬もこげているため親愛の証であるすりすりもろくに出来ない。そんな子をあいつらは愛せるだろうか。 さーて、俺は次の赤ゆっくりを探すとするか。 今度はせめて五日程度は持たせたいものだ。 ──────────────────────────────── by デストラクション小杉?
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/740.html
俺とゆっくりの話 2の続きです 善良なゆっくりがいます 注意 「ふふふ…れいむ、いままりさがすっきりさせてあげるからね…」 「Zzz…Zzz…」 ゆっくりとれいむに忍び寄るまりさ しかしもう少しというところで後ろの戸が開いた 「ゆゆっ!?」 「なんだおまえ、まだ起きてたのか?」 あのおじさんだった、なんで寝てないんだよこの腐れほもさぴえんすが 「すこしねむれなかっただけだよ!!おじさんはまりさとれいむをあんみんさせてね!!」 「眠れないんだろ?俺も仕事がひと段落したんだが眠れなかったんだ、少し話でもしようぜ」 「…いいよ、でもたのしくなかったらすぐねるからね」 その人間は何個か飲み物とお菓子のようなものを持って来てまりさに進めた まりさはもしかしたら毒が入っているかも…と考えたが自分はこの家で一番偉いれいむと夫婦の関係だ、その自分を殺すことはないだろう… その時のお話の殆どはこの人間の仕事の愚痴とかだった 正直そんな話をまりさが聞いても面白くない、だが出されたお菓子は美味しかったので黙って聞いた 「そんなにいやならしごとなんてやめればいいんだよ…」 すこし眠くなってきたまりさが言う 「そうもいかん、仕事をしないと俺もれいむもお前もゆっくりできなくなるからな」 ゆっくりするためにゆっくりできない「仕事」をする?まりさにはますます理解できない だがさいごに人間の言った言葉だけは理解できた気がした 「お前は俺が嫌いだと思う、俺もお前は嫌いだ、でも俺はお前に死んでほしくない、だから早く人間のルールを覚えてほしい、俺のためでもお前のためでもない、れいむのためにな」 結局人間より先に寝てしまいれいむとすっきりできなかった 次の日、人間は仕事に行った 今がれいむとすっきりするチャンスだ だがれいむにさそわれて散歩に出かけている今、すっきりすることはできない、さすがに草すらない路上ですっきりするのはためらわれた 「れいむぅ!たすけて!!たすけてね!!」 その時一匹のちぇんが飛び出してきた、しかも帽子がない まりさはとっさにれいむをかばい、ちぇんを攻撃した 「だめだよ!!かざりのないゆっくりできないちぇんはゆっくりどっかいっt「だめだよ!!まりさ!!」」 なぜだれいむは止める?自分は飾りのないゆっくりできない奴を追い出そうとしただけなのに? 「どうしたのちぇん!!これじゃあどのちぇんかわからないよ!!」 「わからないちぇんはゆっくりでていっt…「うるさいよ!!!!」」 しかも怒鳴られた、こんなに怒鳴られたのは初めてだ 「やせいのちぇんのかぞくにぼうしをとられたんだよ、よくわからないよ…」 このちぇんはシルバーバッチを持つちぇんだ、飾りをなくしたら人間かゴールドバッチを持つゆっくりの所に行けばいいことは知っている 「ごめんねちぇん、ちょっとおしりみせてね!!」 ちぇんのおしりにはバーコードのような模様が焼き付けられていた、れいむはこの模様が本物だと理解した 「じゃあちぇんはゆっくりついてきてね!!いっしょにかこうじょにいこうね!!」 「かかかかこうじょーはだめだよ!!ゆっくりできないよぉ!!」 「だいじょーぶだよ!ゆっくりできないのはわるいゆっくりだけだよ!!」 まりさはいきたくなかったがれいむはみょんを連れて加工場まで向かってしまった 仕方なくまりさもついて行くことになった 加工場まで来たれいむはゆっくり専用入り口で係員を大声で呼ぶ、係員は一瞬怪訝そうな顔をしたがれいむがゴールドバッチをつけているのを見るとすぐに笑顔になった 「どうしたんだい?」 「このちぇんが帽子を取られちゃったみたいなの!!」 「おにいさん!ちぇんのぼうしをつくってほしいよ!わかってねー!」 「はいはい、わかったよ、10分程まっててね!」 そう言って係員はちぇんを抱えて奥の部屋へと消えていった このときまりさは理解した、れいむは帽子のないゆっくりを助けてあげると言って加工所に引き渡したのだ 加工所に子供を売る(もしくは自らを売る)ことでお菓子をもらって飢えをしのいだという話もある、さすがれいむだ、自分の妻になるだけあって頭もいい 「さすがだね!れいむ!!ちぇんをうっておかしにするなんてれいむはあたまがいいね!!」 「なにいってるの!?まりさ!!だいじななかまをうったりはしないよ!!」 「ゆ?」 しばらくたってさっきのちぇんが帽子をつけて出てきた 「ゆっくびっくりぃ!??!?!?!???!ぱぴぷぺぽろろっか!?!?!?!?」 このとき、まりさの餡子脳は完全に破壊された 加工場がゆっくりを助けた、れいむは帽子のないゆっくりを攻撃しようとしなかった 何もかも理解できない ちぇんがれいむと加工所の職員にお礼を言っている、そんなのはどうでもいい ここは加工所だ、それは間違いない、なのになぜあの人間はれいむに優しく微笑み、ちぇんの帽子を作ったのか? ありえない アリエナイ ソウカ、ヤットワカッタ、アイツラハユックリジャナインダ… 「ゆゆゆゆゆうふふふのうかりんにかっちゃったぁ!」 まりさが体内のぺにぺにを戦闘準備させ、れいむにおそいかかる 「やめてね!!まりさ!!どうしたの!?」 だがまりさは止まらない、あわててれいむは加工所の職員の後ろに隠れた 「うふふふふふぎゃあ!!」 職員の足にぺにぺにを突き刺さん勢いで突撃するまりさ まりさのぺにぺには真っ二つになった 「ふんじゃらhf8うえghvsばvsじゃヴぁjhvばhscぺにぺにますたーすぱーくっC言語!!!」 そんな言葉を残し、ぺにぺにから精餡子を噴き出しながらまりさは絶命した 俺が仕事から帰ってすぐ、加工所の職員がれいむを連れてやってきた れいむはふさぎこんで一言もしゃべらなかったが加工所の職員から大体話は聞いた、そしてその理由も 最近分かったことでまだ市販の飼育書にもほとんど乗っていないことだが野生のゆっくり(特に一番生意気な亜成体)がゴールドメダルをもつ飼いゆっくりと一緒にいると壊れることがあるらしい 詳しい話だと野生ゆっくりの常識では考えられない行動を飼いゆっくりがとり続けるため餡子が一時的に麻痺し、気絶してしまう そのご何らかの結論を出すことができれば復活するが多くは精神的に壊れてしまうらしい しかし壊れてもれいむとすっきりしようとするとは…やつは真剣にれいむを愛していたんだろうな… そのご、れいむは三日間、何も食べようとはしなかった。まりさは自分が殺したという罪悪感が募っていたのだろう 日に日に痩せて行くれいむが心配になった俺は今日も食べようとしないなら無理やりにでも口に入れてやろうとした だがその日れいむに助けてもらったというちぇんがお礼を言いにやってきた、帽子に金色のバッチを付けて ちぇんに励まされ、何とかれいむは持ち直すことができた いまではれいむとちぇんは夫婦として仲良く暮らしている、とはいってもお互い飼い主がいるから毎日一緒に遊んだりお泊りしたりする程度だが… ちなみに野生ゆっくりまりさの間に「かこうじょにいくとむりやりぺにぺにからすっきりさせられてころされてしまう」といううわさが流れ加工所をより一層怖がるようになったのはただの余談である あとがき なんか最後、いろいろ狂ってる内容になった やっぱ自分は戦争もの書いている方がいいのだろうか? 8月19日 2209 セイン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3864.html
『真冬のゆっくり対策 6』 「気を落とさないでください、何か対策を考えましょう」 「ええ…」 村で一番大きな施設の中。今日ここでゆっくりの駆除に当たっていた人達が集まって食事をしている。 「あ、お姉ちゃん」 右目に眼帯を付けた1人の女の子が虐待お兄ちゃんの席にやってきた。 「お姉ちゃん帰ってきてたんだ」 「ええ。今日帰ってきたところよ」 「そちらの方は?」 「今日知り合った人よ。一緒に駆除してたのよ」 「そうなんだ。…はじめまして。今日はお疲れ様です」 「ああ…どうも。そうでしたか、姉妹ですか。ああ…よく似ていらっしゃいますね」 (この子何で眼帯付けてるんだろう?…) 「お姉ちゃん、ちゃんと家に帰ってきてね。お父さんとお母さんも会いたがってるよ」 「分かったわ。ここを出るまでには会っておくわよ」 「お兄さん、何もないところですけど…ゆっくりしていってください」 「ありがとうございます。この鍋美味しいですね」 その子はまた別の席へ向かった。ここで世話係をしているのだろう。 「昔ここに住んでいたって言ってましたね」 「…なんで眼帯付けてるんだろう?……って思いましたよね?」 「え…いや…その…」 「あの子…ゆっくりに襲われたの」 「ええ!?」 「昔よ、数年前の話よ。畑にゆっくりが野菜を盗みに来たからあの子が追い払おうとしたの。そうしたら枝を咥えたゆっくりに 襲われて目を刺されたのよ」 「……」 「協定とかがあったから村中で抗議に行ったわ。まあ襲ったゆっくりは勿論その種はみな村に引き渡されて虐殺されたけどね」 「種?」 「下品な言葉使うゆっくりがいるでしょ。あいつらよ」 「そうか…だからみょん種を見なかったのか」 「それで済む問題じゃないのに……それ以降も時々畑に被害が出たわ」 「……」 「結局あの子の右目は失明したわ。かわいそうに…」 「それ以上は言わなくていいです。今は…貴方に協力しましょう」 「ありがとう…。ごめんなさい…変なこと話してしまって」 彼らは様々な意見を交わした。 「そうだ、今日途中で駆除アイテムくれたおじさんがいたんだ。何かいいものがないか聞いてきますね」 彼は席を外し昼間唐辛子入り煙幕をくれたおじさんを探した。 「村長、…スは…の…角に…るんだ…な?」 「え…そうですよ。しかし…ぜそんな…とを?」 (何を話しているんだ?) そのおじさんは村長と何か話していた。周りがうるさいためよく聞き取れない。彼は近づいた。 「実はな、明日ドスを駆除しに行こうと思うんだ」 「それは危険ではないのですか?」 「いや大丈夫だ。実は隣の村でもドスの群の被害が出ててね、事前に一緒に駆除しようって誘ったら乗り気だったよ」 「しかし無理をしなくても。ドスとはいえこの冬じゃ手が出ないですから準備を整えてからの方が…」 「そう思うだろ。実はドスって冬でも行動できるらいいぜ」 「そうなんですか」 「ゆっくりってのは皮が小麦粉で作りが単純だろ?だから冬になると中の餡子がすぐ冷えちまうから冬は苦手なんだとさ」 「ええ」 「ところがドスってのは皮が厚くて硬いんだ。まあ所詮は小麦粉なんだけどな。だけど冬の寒さには通常のよりも耐えられるんだ」 「そうなんですか」 「実際冬なのに村に食糧を恵んでもらうためにやってきたって話がある。すぐ駆除されたらしいけどな」 「ドススパークとかは?」 「ああ、いくらドスでも冬は力が100%出せないってよ。ドススパークってのも冬になるとあのキノコを咀嚼するのに時間かかるし 威力も射程も弱まるって聞いたぜ。それでも脅威であることは確かだ」 「なるほど…早めに手を打った方が良いという訳ですな」 「一応隣の村に電話させてくれないか?今朝連絡したら"明日にでも駆除に行けますぜ"って返ってきたよ」 「場所とかは分かりますか?」 「ああ。大体の見当はついている。こっから西に半日ぐらいで着くよな?」 「ええ。」 (西?) 彼は何か引っかかっていた。 "こまったことがあったらどすにたすけてもらえって。おひさまがしずむところにどすがいるってありすがいってたわ!" (そうか!じゃあ次の行動は!!) 「お…おじさん、いつドス退治に行くんですか?」 「おぅ…お前さんさっき会った坊主じゃねえか」 「いつですか?」 「そうだなあ…日の出には出るよ。さっきの話聞いてたんだろ。半日かかるから早く行けば動けないうちに駆除できるぜ」 「あ…あの…よければ場所教えてくれませんか?」 「ついてくればいいじゃないか」 「いや…その…お…俺朝弱いんですよ。特に冬は」 「ハッハッハ!最近の若い奴は軟弱者だなあ。いいぜ、一応教えとくわ。来たくなったら来いや」 「ありがとうございます」 彼は地図にドスの居場所を書いてもらった。 「大体この辺りだ。この辺りでの目撃が多い」 「わかりました。ありがとうございます。できれば明日早起きできるようにします」 「それが一番いい。俺はもう寝るぞ」 「分かったよ。あいつらが次に起こす行動」 彼は席に戻りそう言った。 「何をする気なの?」 「あいつらドスのところに助けを呼ぶんじゃないかな」 「ドスってここから西に行った所にいる?」 「そうそう。困ったことがあったら太陽が沈むところにいるドスに助けてもらえって言うのがあそこのリーダーの言葉らしい」 「明日狩るってさっき聞こえたわ」 「ああ。奴らの最後の頼みはドスだ。だからそこを叩けば奴らは何もできない」 「……………」 しばし沈黙。 「?」 「ふふふ。いいことを思いついたわ」 「その笑顔…調子が出てきたみたいですね」 「ええ…………」 彼女は作戦を彼に話した。 「ほほう。免許とかは?」 「持ってるわ。軽トラの方は借りるわ」 「じゃあ俺はドス退治に向かいます。そちらは1人でも…」 「任せて。そうね、予備のリボンがあったはずだわ。それ使えば1人で充分よ」 「分かりました。じゃあ明日は早いんで俺はもう寝ます」 「おやすみなさい。私は道具を揃えるわ」 彼らは施設を出た。ちらほら施設を出る者がいたが食事をする人はまだいる。 「え、おじいちゃんドクウツギを知ってるんですか」 「知ってるも何もうちに生えておる」 「そ…それでゆっくりは」 「時々実を畑に撒いているよ。そうするとゆっくりが気絶しててのぉ…いい肥やしになるんじゃ」 「いったいどういったものなんですか」 「見た目は小さくて美味しそうな実じゃよ。実際甘いそうじゃ。だが食べると大変なことになる」 「そういえば俺小さい時山葡萄と間違えて変なもの食って腹壊したことがあるなあ」 「腹壊すどころではない。それは別だ。最悪死ぬぞ。見た目は確かに葡萄に似とる。昔は子供が食べて死ぬということがあってのぉ」 「そんな草花の名前聞いたことないですよ」 「ドクウツギは毒空木と書くんじゃ。被害が出るから大量に狩られてな」 「なぜおじいちゃんはその木を?」 「ゆっくりの畑荒らしに使えればと思って生やしてみたんじゃ」 「実とかあります?」 「保管しているのがあるぞ。実は初夏にならないと実らないから今年中にみなに分けてやるのは無理だが…」 「いえいえ。しかしそんなに危ないとなると子供には見せられませんね」 「だからわしは畑には生やしていないのじゃ。流石に落ちている実は拾って食べたりせんしな」 「今度見せてください」 「分かった。明日にでも持ってこよう」 -同時刻、洞窟の中- 「みんな…ごはんにしようね…」 「うん…」 妻や子供、仲間を失いさらに入り口もふさがれ意気消沈なゆっくり達は力なく食堂へ向かった。 「た…たいへんだよおお!!!!」 「どうしたの?まりさ…」 「ごはんが…ごはんがあああ!!!」 「いったいどうしたのよ!!」 「まさかごはんがない!!?」 食堂の前ではゆっくりが集まっていた。 「これは!!!!ひどいわ…」 「むししゃんだべちゃかったよおおお!!!!」 「まりさのだいすきなきのこがあああああ!!!」 「だいこんさんがああ!!!たべだがっだよおおお!!!!」 食糧は半分ほどが焼焦げていた。実は虐待お兄ちゃんがゆっくりが食事をしている時にこっそりと燃やしていたのだ。 「これじゃあ…ふゆこせないよお…」 「ゆっくりできないよお…」 「ゆえぇえぇええん!!!!」 「おきゃあしゃんおにゃかしゅいちゃよお!!!!」 「と…とりあえずみんなごはんにしましょう…いつもよりすくないけど…」 ゆっくり達に食事が与えられた。いつもの半分も無い。 「「「「むーしゃむーしゃ…」」」」 「「「むーちゃむーちゃ…」」」 いつもだったらしあわせー♪な食事も今は悲しくて悔しくて辛くて味がしなかった。 「「ゆえぇええぇええん!!!!!」」 「「ぐやじいよおおお!!!!!」」 「「みゃみゃあ!!!!ゆっぐりできにゃいよおお!!!!」」 「「おいじぐないよおお!!!!みんなどいっしょにたべだいよおお!!!」」 「「あがじゃああん…いっしょにごはんたべだいよおお!!!!」」 洞窟内はゆっくりの涙声でいっぱいだった。 「ゆっぐ……もう…がまんできないよ!!」 「そうだよ!!ぜったいじがえじじでやるうう!!!」 「ごろじでやるううう!!!!じじいとばばあをごろじでええええ!!!!」 いつしか涙声は怒号に変わっていた。 そして1匹のれいむが叫んだ。 「ゆ!そうだよ、ぱちゅりーがいってたよ!!!こまったことがあったらおひさまがしずむところにいるどすにたすけてもらえって」 「そ…そうだよ!どすがいればにんげんにふくしゅうできるよ!」 ゆっくり達に希望の火が灯った。 「いこう!みんなでどすのところに!」 「で…でもおそとはさむいよ…それにいりぐちが…」 「ゆ…ゆぅ…」 「で…でも…そうしないと…」 「きめたよ!まりさはどすのところにいくよ!!」 「れいむもいくよ!このままじゃくやしいもん!」 「まりさ、いいことをおもいついたんだぜ!」 まりさは巣穴の中に入り白い綿を持ってきた。 「まりさ!それはあなたのたいせつな!!」 「そうだぜ!たいせつなもこもこさんなんだぜ!!」 「これをどうするの?」 「もこもこさんをきればあったかいんだぜ!これならおそとにでてもだいじょうぶなんだぜ!!」 「もこもこさんだったら…れいむのところにもあるよ!!もってくるね!」 「ちぇんももってるよ!ちょっとまっててほしいんだねー」 何匹かが巣から綿や藁など寒さを防ぐために持っていたものを持ってきた。 「これだけじゃ…みんなのぶんはないわね」 「ゆううう…」 「むきゅ、だったらだいひょうしゃがどすのところにたすけをよびにいってのこりはここでまってるというのがいいわ」 「どすをつれてくればいいんだね。わかるよー」 群の中で足が速くまた体力があるゆっくりが選抜された。 「あとは…いりぐちだね」 「どうしたらいいの…」 「むきゅ!みんなよくきいて、ゆきさんはおみずさんがかたまったものなのよ」 「ゆ!じゃあのめばいいんだね」 「みんなでかきわければいいんだよ!れいむさっそくいってくるよ!」 多くのゆっくりが入り口へ向かった。 「ゆんしょ!ゆんしょ!」 「ゆぴいいい!!つべたあいい!!!」 「むーしゃむーしゃ…」 「ぺっぺっぺっぺ!!!」 ゆっくりは雪をどかし始めた。 「みんなでがんばればどかせるよ!!」 「がんばるよ!!ぜったいみんなでゆっくりするよ!!」 「「「「「えいえいゆー!!!!」」」」」 ゆっくりは夜を徹して入り口を塞いでいる雪山を崩す作業を続けた。 つづく by 虐待おにいちゃん